タグ:学校建築 ( 99 ) タグの人気記事

2012年 08月 17日
倉敷西中学校校舎
岡山県倉敷市の近代建築その1


倉敷駅の北西、静かな住宅地の一角に倉敷市立西中学校の校舎が並んでいます。同校では前身の倉敷実業学校時代に建てられた木造校舎や体育館、特別教室棟、図書室棟等の多くの建物が現在も使われています。昭和12年築。
f0116479_20255343.jpg

昭和12年に倉敷実業学校と倉敷高等小学校、倉敷青年学校の3つの学校が同居する校舎として設置されました。このため都市部の学校としては広大な敷地を持っており、同校は現在の倉敷市で最も大きな中学校となっています。また、実業学校時代は農業科が設けられていた事も広い校地を有している理由の一つと思われます。
詳細はこちらをご覧ください。
f0116479_20263612.jpg

f0116479_20264882.jpg

2棟が並ぶ校舎、校庭に面して建つ特別教室棟や体育館、正門等、学校の主要な施設の殆どが当時のまま使われており、その多くは良好に竣工時の姿を留めます。岡山県内に数多く残る木造校舎の中でもこれだけの規模で現存している例は他にありません。
f0116479_2027073.jpg

f0116479_20275037.jpg

築年が昭和12年と戦前の校舎として晩期、立地も都市近郊とあって、全体的に洗練され垢抜けたモダンな意匠です。装飾表現を玄関部分に集め、壁面は付け柱や窓枠で水平・垂直にアクセントを付ける手法は先日紹介した篠山の八上小学校と共通するものがあります。
f0116479_20284384.jpg

f0116479_2365558.jpg

長く突き出した玄関庇。大きなアーチが側面を支えます。
f0116479_20352495.jpg
f0116479_2343837.jpg

f0116479_20361188.jpg

f0116479_20363050.jpg

f0116479_2037963.jpg

f0116479_20372553.jpg

f0116479_20385627.jpg

北側の校舎から順に廻っていきます。
f0116479_20382660.jpg

f0116479_20392087.jpg

中庭を挟んで南側の校舎が並びます。
f0116479_2040199.jpg

f0116479_20404453.jpg

f0116479_20412953.jpg

f0116479_20475015.jpg

補修はされているものと思われますが、各窓には当時と同様な木製の窓枠が保たれています。
f0116479_20472786.jpg
f0116479_20491262.jpg

f0116479_20484761.jpg

f0116479_20481699.jpg

f0116479_20493583.jpg

f0116479_204954100.jpg
f0116479_2050314.jpg

更に進んで校庭側に出ます。左手に見えるのは同時期に建てられた雨天体操場(体育館)です。
f0116479_20515871.jpg

反対側からの眺め。
f0116479_20551435.jpg

f0116479_20561140.jpg

f0116479_20572588.jpg
f0116479_2057727.jpg

体育館の手前には特別教室棟が並びます。
f0116479_2304742.jpg

f0116479_20583520.jpg

この二つの棟を繋ぐ渡り廊下。
f0116479_20593666.jpg

f0116479_20595817.jpg

f0116479_2102335.jpg

f0116479_2105355.jpg

f0116479_2111279.jpg

校庭から眺めた南側の校舎です。
f0116479_2123260.jpg

f0116479_20523458.jpg

f0116479_212832.jpg

f0116479_213432.jpg

f0116479_2132585.jpg

南側には小さな棟が2棟並びます。
f0116479_2142021.jpg
f0116479_2144411.jpg

f0116479_2151478.jpg

f0116479_2154427.jpg

f0116479_22573930.jpg

本校舎と繋ぐ渡り廊下です。
f0116479_217131.jpg

築70年を越える校舎ですが、程良く手入れされ、素晴らしい状態で保たれています。
これだけの規模で現存する戦前の中学校校舎は全国的にも珍しく、数多く残る岡山の木造校舎の中でも昭和初期の学校建築を代表する良例として重要な資料となっています。
f0116479_2173917.jpg


by sunshine-works | 2012-08-17 22:44 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(0)
2012年 08月 05日
八上小学校校舎
篠山の近代建築その4

篠山の中心市街から篠山川を渡り、京都方面へ進んで程なく、道の右手側に濃茶色の外壁が目を惹く木造建物が見えてきます。
この八上小学校は篠山に唯一残る戦前築の現役木造小学校校舎となります。昭和12年築。
f0116479_20235413.jpg

県道に面して北校舎、南校舎が並びます。北校舎に玄関が設けられている以外は同規模・同規格。二つの校舎は中央の渡り廊下で結ばれます。
木造2階建て、下見板貼、一部モルタル仕上げ。屋根にはセメントの平瓦が葺かれています。
f0116479_20253295.jpg

f0116479_2026077.jpg

f0116479_20281723.jpg

戦前の木造校舎としては晩期となるこの時代の校舎らしく、セセッションやアールヌーボーの流行を取り入れた意匠。
装飾表現を玄関周りに集め、壁面を窓や付柱による水平・垂直ラインで引き立たせます。
f0116479_20294062.jpg

f0116479_20285915.jpg

f0116479_20301259.jpg

f0116479_2215458.jpg

f0116479_22153721.jpg

f0116479_2031845.jpg

f0116479_220405.jpg

黒塗杉材の下見板に押え縁として添えられる白塗りの垂直材。単調な壁面を引き締めています。
f0116479_2215268.jpg

f0116479_222775.jpg

f0116479_2223727.jpg

f0116479_2225366.jpg

f0116479_223308.jpg
f0116479_2242675.jpg

f0116479_225251.jpg

f0116479_225489.jpg

渡り廊下で繋がる南校舎です。
f0116479_22688.jpg

f0116479_2263175.jpg

f0116479_2264872.jpg

渡り廊下から南校舎を眺めます。
f0116479_227252.jpg

f0116479_228387.jpg
f0116479_2274883.jpg

校庭から。ほぼ同じ規格で並ぶ2棟の校舎。
f0116479_22413912.jpg

古い木造校舎については耐震性を巡って、改修・建て替えの2案が問われています。
築70年を超えるこの八上小学校校舎も両案が検討されましたが、最終的には現存校舎の補強で対応可、との判断で兵庫県として初の木造校舎の耐震補強工事が施工される事となりました。
現在補強工事が進むこの八上小学校は、古い木造校舎の行く末を定める重要な事例として、今後注目すべき存在と思えます。
f0116479_2242140.jpg


by sunshine-works | 2012-08-05 18:21 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(1)
2012年 08月 01日
篠山小学校講堂
篠山の近代建築その3

篠山市立篠山小学校は篠山地区で最も古い教育機関として明治5年にその前身が設置され、その後篠山城址に校地を移して篠山小学校として開校します。
現在使われている5棟の木造校舎は昭和30年前後に建てられた築50年を超える古いものですが、講堂の築年は更に古く、昭和10年に建てられたものが今尚使われています。
f0116479_11525520.jpg

広い敷地の南側、5棟の校舎の中程に挟まれる様に建っています。鉄骨木造、外壁はモルタル仕上げリシン搔き落とし。玄関周りを人造石で飾り、切妻屋根と玄関の庇にスパニッシュ瓦を葺きます。各部に意匠を凝らしたモダンな講堂です。
f0116479_11531556.jpg

f0116479_11532778.jpg

f0116479_1158474.jpg

正面の壁面を飾る不思議な数字。この講堂が起工した昭和9年を皇紀で表しています。
f0116479_11581469.jpg

玄関周りです。入口を左右に分けているのは人の流れをスムーズにする配慮でしょうか。中央には同校の校章が描かれています。
f0116479_13125553.jpg

f0116479_13113277.jpg

f0116479_13133232.jpg

f0116479_1312010.jpg
f0116479_13114786.jpg

f0116479_13121524.jpg

側面の景色。腰回りに装飾タイルを巡らせます。
f0116479_13153337.jpg

f0116479_13154391.jpg

f0116479_13155424.jpg

f0116479_1316889.jpg

各校舎を繋ぐ渡り廊下から講堂を眺めます。
f0116479_13193396.jpg

f0116479_131999.jpg

左手に並ぶのが戦後に建てられた木造校舎です。
f0116479_13165621.jpg

校庭からの校舎遠景。
f0116479_1321423.jpg

戦前の小学校に於いて、一定規模の学校には行事や発表の場として講堂が備えられていましたが、戦後は室内運動場としての用途を主とする体育館に置き換わっていきます。
戦前の小学校校舎の現存例は数多くありますが、講堂に限るとその数は少なく、中でも、優れた意匠表現が表現されたこの篠山小学校講堂は、貴重な現存資料として高く評価されるべき存在です。
f0116479_13173416.jpg


by sunshine-works | 2012-08-01 19:57 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 29日
旧鳥取高等農業学校校舎
鳥取県鳥取市の近代建築その1

鳥取の中心部を南東方向へ進んで程なく、大きな工場が並ぶ一角に三洋電機鳥取工場の敷地が広がります。
この三洋電機の敷地には、かつてこの地に置かれていた鳥取高等農業学校の校舎の一部が保存されています。大正9年築。設計:辰野金吾。
f0116479_13122593.jpg

この場所は、鳥取農業学校が開校した大正9年から、後身の鳥取大学農学部が移転する昭和41年まで校地として使われていました。敷地内には数多くの校舎が建っていたようですが、残されたのはこの本館のみ。玄関を含む中央部分が保存されています。
f0116479_1313330.jpg

f0116479_19103427.jpg

下見板貼りの2階建て、中央にアーチ形の玄関入口を配し、玄関ポーチには石が敷かれます。ルネサンス式の格調高い意匠が施された、官制の高等専門学校に相応しい校舎です。
f0116479_14145227.jpg

f0116479_1421898.jpg

f0116479_18463348.jpg

f0116479_1453630.jpg

f0116479_145575.jpg

f0116479_1461342.jpg

建物は上から見てY字形。玄関はY字の交点に位置します。残されたのは前面部分との事なので、両翼に長く校舎が続いていたものと思われます。
現在の姿から当時の全貌は掴み辛いのですが、中央部だけでも相当なボリュームがあり、大きな校舎だった事が想像できます。
f0116479_13135867.jpg

側面から裏側に廻ります。かつてはこの先に校舎が伸びていたのでしょう。
f0116479_18134444.jpg

f0116479_1417442.jpg

f0116479_1819520.jpg

屋根の中央部には小さな望楼が設けられています。
f0116479_1418388.jpg

f0116479_17395763.jpg

建物の真裏、玄関の背面にあたる部分です。
f0116479_17434431.jpg

f0116479_17442851.jpg

f0116479_1916261.jpg

f0116479_18475782.jpg

旧制大学や医科大学が置かれなかった鳥取県に於いては、戦前の高等教育機関の建物として唯一の現存例になります。全国数箇所に設置された高等農業学校の中でも、本館が現存する事例は他に一例を数えるのみで、辰野金吾の作品である事も併せて極めて貴重な建物と言えます。
f0116479_17522497.jpg


by sunshine-works | 2012-03-29 20:28 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 25日
旧岩井尋常小学校
鳥取県岩美郡の近代建築

鳥取県東部の温泉地岩美の町角に半ば朽ちかけた古い小学校校舎が残されています。
明治25年に岩井尋常小学校として建てられたこの校舎は、鳥取県に現存する学校建築として最も古いものです。
f0116479_2535628.jpg

通りから緩やかな坂を上った先、校庭らしきものがほとんどない狭い敷地にひっそりと建っています。
f0116479_2553475.jpg

f0116479_256947.jpg

大正6年まで小学校として使われ、その後は幾度も用途を変えながら使われましたが、現在はこのように荒れ果てた状態で残されています。用途に応じて都度改装が行われたと思われますが、玄関廻りを始め主要な部分は竣工当時の姿を留めています。
f0116479_2572242.jpg

f0116479_2573948.jpg

小さな建物ですが、中央に張り出した玄関庇、その上に設けられたバルコニー、周囲に廻らされた軒飾り、庇の上に葺かれた大きな瓦屋根等々、見事な装飾意匠が施されています。
f0116479_355366.jpg

f0116479_361184.jpg
f0116479_362275.jpg

f0116479_3741.jpg

f0116479_373461.jpg

使われる事のない玄関扉。
空家となってから、相当な時間が経過しています。
f0116479_31272.jpg

f0116479_32172.jpg
f0116479_352617.jpg
f0116479_31496.jpg

塗装は干乾び、木部もボロボロ、傾きや歪みも目立ちます。岩美町の保護文化財となっていますが、何ら手入れされていないと思われます。このまま保存策を講じなければ、倒壊の危険すらありそうです。
f0116479_32338.jpg

f0116479_2592670.jpg
f0116479_3015100.jpg

f0116479_374957.jpg

庇を支える基礎。下草が繁茂し、柱には蔦が伝います。
f0116479_312250.jpg

f0116479_364118.jpg

地方に於ける黎明期の学校建築の秀例として、優れた歴史遺産です。
今後どのような扱いが為されるのか、何とも不安な状況ではありますが、永く残すべき価値のある建物です。
f0116479_2585820.jpg


by sunshine-works | 2012-03-25 23:55 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 21日
旧香川県尋常中学校丸亀分校本館(丸亀高校記念館)
香川県丸亀市の近代建築その1

香川県立丸亀高等学校は、明治26年に香川県尋常中学校の分校として開校した県下でも長い歴史を持つ学校です。
この校地の一角には開校時に建てられた旧本館が記念館として保存されています。
f0116479_12402983.jpg

城下町として栄えた丸亀は、明治に移行した後も西讃の経済・文化の中心として重要な役割を担っていました。
県都高松に尋常中学校が設立される際も、併せてこの校舎が分校として設立され、丸亀は、高松に次ぐ拠点都市としての確固たる地位を占めていました。
開校時は分校の位置付けでしたが、開校時の丸亀分校の生徒数は本校の生徒数の6割にもあたり、現存するこの校舎を見てもその概要は本校に劣らぬものだったと思われます。開校後僅か5年で独立して丸亀尋常中学校となる事からも、本校に準じた造りとして設計されていたのでしょう。
f0116479_1241715.jpg

木造2階建て、花崗岩の基礎の上に下見板貼の外壁を巡らせ、大きな切妻屋根を乗せます。
切妻屋根の妻面には換気窓がアクセントの様に設けられています。
f0116479_12404893.jpg

石を貼った玄関廻り、列柱で支えられた庇、ぺディメントを添えた各窓、各窓の間を飾る付柱、細密に整えられた下見板の外壁、幾重にも重なるコーニス等々。明治期の中学校建築の特色を良好に伝えます。
f0116479_18194426.jpg

f0116479_18103679.jpg

f0116479_22275398.jpg

f0116479_1811412.jpg

f0116479_18114868.jpg

f0116479_181231100.jpg

f0116479_18232266.jpg

f0116479_1812538.jpg

f0116479_1813437.jpg

f0116479_1830295.jpg

側面を遠方から。
屋根の高さもあって非常に大きな造りに感じます。
f0116479_18222454.jpg

校舎裏面です。
開放式の廊下を巡らせ、そのまま後方の別棟を繋ぎます。
f0116479_18293624.jpg

f0116479_1829070.jpg

f0116479_18291240.jpg

f0116479_1830176.jpg

f0116479_18301333.jpg

後方に繋がる平屋建ての別棟。
旧本館は昭和35年に曳屋によって現在地に移されているので、現在の配置は当初のものとは異なるかも知れません。
f0116479_18433741.jpg

f0116479_18435746.jpg

f0116479_18441852.jpg

f0116479_18444653.jpg

f0116479_2223386.jpg

明治期の中学校建築の現存例は全国的にも数は少なく、更に明治20年代に建てられたものとなると僅かな例が残るのみです。
この校舎は四国に於ける明治期の中学校校舎の姿を伝える好例として、極めて希少な建物と言えます。
f0116479_22322573.jpg


by sunshine-works | 2012-03-21 23:09 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(2)
2012年 03月 17日
旧高梁尋常高等小学校本館
岡山県高梁市の近代建築その8

高梁市の中心街の一角に高梁市郷土資料館が置かれています。この建物は旧高梁高等尋常小学校として建てられ、昭和47年まで使われていました。
明治37年築。
f0116479_131463.jpg

昭和47年に統合によって廃校となった旧高梁小学校の本館部分が残され、現在は郷土資料館として利用されています。
小学校時代は1階に職員室や控室が置かれ、2階は講堂として使われていました。
f0116479_20243323.jpg

同時期の築となる吹屋小学校と同様に明治期の学校建築らしい、威厳や風格が備わった造りです。
施工を請け負った妹尾友太郎は当地で活躍した棟梁でしたが、巧みに西洋建築の技法を学び取り、他にも多くの洋風建築を手掛けました。
f0116479_1313960.jpg

装飾要素は玄関廻りに集められています。銅板を葺いた玄関庇を大きく張り出した持送りが支え、軒下には細密に組まれた格子を廻らせます。
f0116479_1325284.jpg

f0116479_1441342.jpg

f0116479_1442819.jpg

f0116479_1355543.jpg

f0116479_1323055.jpg

f0116479_1331842.jpg

f0116479_133566.jpg

f0116479_1341377.jpg

f0116479_1351632.jpg

f0116479_1344349.jpg

花崗岩の基礎の上に腰周りを羽目板、上部に下見板貼りの外壁を重ねます。一部の窓には当時のままの手延硝子が残っています。
f0116479_1374833.jpg

f0116479_1384799.jpg

f0116479_1534040.jpg

f0116479_139511.jpg

入口扉には、玄関庇の格子模様と同じ意匠が飾られます。
f0116479_1412382.jpg

f0116479_141389.jpg

f0116479_1391897.jpg

f0116479_1401262.jpg

この扉の先は民具や郷土資料が並ぶ展示室となっていますが、残念ながら撮影禁止です。
小学校だった当時のままに仕切られた各区画は良好に姿を留め、地元産の樅の木を用いた折り上げ天井や奉安殿が残る二階講堂は、素晴らしい景観でした。
f0116479_1422142.jpg

古き木造校舎が数多く残る岡山に於いても、取分けこの校舎は明治期の学校建築の頂点とも言える意匠と技法を今に伝える貴重な文化遺産です。
教育県として知られる岡山の明治期の学校建築の好例として、永く残されていくべき建物です。
f0116479_1303444.jpg


by sunshine-works | 2012-03-17 23:30 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 13日
布寄小学校 / 旧坂本小学校
岡山県高梁市の近代建築その7

前回、今月20日で最後の卒業式を迎える吹屋小学校を紹介しましたが、隣の学区の布寄小学校も同様に本年を持って廃校となります。この布寄小学校では昭和14年築の木造2階建て校舎が使われていました。
f0116479_10344816.jpg

当時のモダン建築の影響を受けた、装飾要素を殆ど持たない平面を組み合わせたシンプルな造りです。重厚な明治期の木造校舎とはその印象が大きく異なります。
f0116479_10361998.jpg

f0116479_10355640.jpg

白色系に塗装されている事もあり、明快でモダンな外観。
山村の小さな校舎ですが、当時の都市部の学校建築と遜色の無い、垢抜けた意匠です。
f0116479_10365010.jpg

f0116479_10374941.jpg

表面、裏面ともに中央部にコンパクトで簡素化された入口庇を設けます。
f0116479_12121468.jpg

f0116479_12123288.jpg

ガラス越しに撮った廊下部分。木造校舎らしい温もりが伝わります。
f0116479_12284759.jpg

小高い台地の上に開かれた校地。石段を上って正面入口へ向かいます。
f0116479_12145220.jpg

f0116479_1215471.jpg

f0116479_12162029.jpg

f0116479_12151749.jpg

f0116479_12163578.jpg

吹屋小学校から西へ約3キロメートルの坂本集落に残る旧坂本小学校校舎。
廃校となって18年を経た今も当時の姿のまま校舎が残されています。
f0116479_1230122.jpg

この坂本小学校も古い歴史のある小学校でした。開校は明治6年、現存するこの校舎は大正8年に当地に移転した際に建てられたものと思われます。廃校となる平成6年まで使われていました。
f0116479_12414961.jpg

f0116479_12331214.jpg

f0116479_1242479.jpg


f0116479_12422326.jpg

f0116479_1242359.jpg

f0116479_12424521.jpg

f0116479_1243354.jpg

f0116479_12431335.jpg

残念な事に、廃校後は殆ど手入れもされず、荒れるに任せたまま。開け放たれた扉から降り込んだ風雨によって腐食が進んでいます。
f0116479_12474777.jpg

f0116479_12475953.jpg

f0116479_12482762.jpg

f0116479_12484476.jpg

校舎の裏側
f0116479_1249377.jpg

過疎化が進む地域で学校の統廃合が行われるのはある面仕方の無い事かも知れません。
とは言え、思い出深い校舎がこのように荒れ果てた状態で朽ちて行くのは見るに耐えません。
自治体による適切な管理が行われる事を切望します。
f0116479_2151489.jpg


by sunshine-works | 2012-03-13 23:44 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(0)
2012年 03月 09日
吹屋小学校
岡山県高梁市の近代建築その6

高梁市の北西部、かつて銅鉱山とベンガラの産地として栄えた吹屋の町並みの裏手に、現役として日本最古の小学校校舎が建っています。
今回は、本年3月で長い歴史を閉じる事となる吹屋小学校の校舎を紹介します。
f0116479_20163265.jpg

斜面を切り開いて作られた敷地に三棟の校舎が建てられています。現在体育館として使われている東校舎、中央に2階建ての本館、教室棟の西校舎がコの字形に並び、それぞれが外廊下で繋げられています。
東西の校舎は明治33年、中央の本館は明治42年に建てられました。
f0116479_20243152.jpg

石を積んだ基礎に下見板と羽目板の外壁を巡らせ、上部は漆喰壁仕上。屋根は和風の桟瓦を葺きます。設計は銅山の経営にあたっていた三菱の技師。簡素な中にも要所に豊かな装飾が施され、明治期の学校建築らしさが窺える意匠です。
f0116479_20255384.jpg

f0116479_2032539.jpg

f0116479_20323755.jpg

中央に位置する二階建ての本館。車寄せは後年に増築されています。
f0116479_20431031.jpg

f0116479_20424798.jpg

f0116479_20403320.jpg

f0116479_20405910.jpg

f0116479_20262245.jpg

f0116479_2130044.jpg

f0116479_2130348.jpg


f0116479_20393466.jpg

f0116479_21211021.jpg

f0116479_2040572.jpg

全体は茶色のオイル塗料が塗られていますが、一部にベンガラ色に塗られている一角もあります。中央の本館は竣工時には全体が白色のペイントで塗られていました。
f0116479_2123926.jpg

f0116479_21232239.jpg

f0116479_21234587.jpg

本館2階の漆喰壁。柱を表に見せるハーフティンバー式の装飾が施されます。
f0116479_2120134.jpg

かつては教室棟だった東棟。隔壁を抜いて体育館・講堂に改築されています。
f0116479_21321937.jpg

f0116479_21315651.jpg

f0116479_21323993.jpg

f0116479_21325683.jpg

西棟の側面。
f0116479_2136186.jpg

最盛期には多くの生徒で賑わった吹屋小学校ですが、最後の年度の在校生は僅か7名。過疎化の波は防ぎようも無く、3月20日の卒業式を最後に110年を越える校舎はその役目を終える事となりました。
吹屋小学校校舎の今後の行末については何ら公表されていませんが、明治期の学校建築の姿を伝えるこの校舎が永く留められる、有効な活用方が見出される事を望んで止みません。
f0116479_21394720.jpg


by sunshine-works | 2012-03-09 22:28 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(2)
2012年 03月 05日
旧氷上郡各町村立高等小学校舎(大手会館)
丹波の近代建築その4

前回紹介した柏原高校の校地に隣接して、1棟の洋風建築が建っています。氷上郡各町村立高等小学校として建てられたこの建物は、県内に現存する学校建築として2番目に古い建物となります。
明治18年築。
f0116479_2234355.jpg

県内では西宮市の今津小学校六角堂(明治15年築)に次いで2番目に古い校舎です。全国的に見ても明治初期の木造校舎の現存例は少なく、初期の学校建築を知る貴重な資料となっています。
f0116479_2251131.jpg

f0116479_2252366.jpg

玄関廻りを中心に手の込んだ装飾が随所に施されており、明治期の学校建築の特色を良く伝えてます。
意匠は和洋折衷のいわゆる偽洋風建築ですが、西洋建築自体がまだ珍しかったこの時代の築とは思えない程完成度は高く、当時の棟梁達の優れた技術が伺えます。
f0116479_2265686.jpg

f0116479_239438.jpg

f0116479_2255120.jpg

f0116479_2273798.jpg

f0116479_2285896.jpg

f0116479_2211159.jpg

f0116479_229842.jpg

f0116479_2291911.jpg

f0116479_2293014.jpg
f0116479_2295085.jpg
f0116479_22101028.jpg

木造2階建て、1階手前側には応接室や事務室、2階手前側には講堂が設けられています。各階奥手には廊下を挟んで左右に2室づつ教室が配置され、片廊下式が標準となるその後の規格とは異なる造りです。
f0116479_22114494.jpg

f0116479_22122012.jpg

f0116479_22125891.jpg

f0116479_22132289.jpg

小学校として建てられたこの建物ですが、実際に小学校として使われたのは僅か12年、暫く病院として使われた後は明治42年~昭和23年迄の長きに亘って女学校校舎として使用されました。
その後は公共施設として様々な用途に使われましたが、安全上の理由で現在は使用を中止しています。
f0116479_22134666.jpg

f0116479_2214373.jpg

f0116479_22142784.jpg

こちらは南面の様子です。
f0116479_22171161.jpg

f0116479_221724100.jpg

各部に歪みや傾きが目立ち、部材の傷みも進行していますが、丹波市にこの建物を取り壊す予定は無く、市では現在新たな利用法を公募しています。
文化遺産として価値の高いこの校舎を永く留める為にも、有効な使われ方が見出される事を望みます。
f0116479_22173811.jpg


by sunshine-works | 2012-03-05 23:32 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)