2025年 05月 25日
京都市役所本庁舎2
京都市中京区の近代建築その18

前回に続き京都市役所本庁舎の二回目、今回は館内各所を廻ります。
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正面玄関をくぐってエントランスホールへ進みます。
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エントランスホールの後方に設置された中央階段を上ります。
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踊り場に設置されたステンドグラス。京都の名所や花々が描かれています。
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側面を飾る幾何学模様のモールディング。
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二階から三階への階段です。
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三階から四階への階段。最上階のこの階は縦長楕円の窓です。
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こちらは河原町通りに面した東側のエントランス。
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この建物には中央階段の他に東西両端に階段が設けられています。こちらは東側入口左手の階段。
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廊下を進んで西側の階段室へ。
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東側階段と比べると踊り場の幅が大きく取られています。

西側階段の最上部。次回はこの先を進んで屋上からの眺めを紹介します。



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2025年 05月 18日
京都市役所本庁舎1
京都市中京区の近代建築その17

河原町御池交差点の南西角に立つ京都市役所本庁舎は昭和2年の竣工。武田五一の監修、京都市営繕課の設計によって建てられました。
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この建物は京都市の三代目庁舎として建てられたもので、第一期工事として昭和2年に旧庁舎の東側に建物東半分が竣工、次いで旧庁舎を取り壊した跡地に残りの西半分が建てられ、昭和6年に全体が完成します。
建物はネオバロック様式の鉄筋コンクリート造地下1階地上4階建て。東西に長く棟を伸ばし、左右両端がそれぞれ南北方向に延びる棟と繋がります。正面からの眺めは車寄せ玄関を中心としたシンメトリーで、手前に迫り出した玄関棟の上部に大きな塔屋を据えます。
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4階部分にバルコニーを設け、縦長楕円形状の窓間にギリシア風の付柱を添え、中央部の付柱は更に上へ延ばされてパラペットから突き出ます。後方に一段下がって据えられた塔屋の四方にはバルコニーの意匠と合わせた装飾が添えられ、その上に同形状の付柱を高く掲げます。
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正面入口の眺め。玄関周りを花崗岩で飾り鉄枠の大きな庇を突き出します。
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玄関の東側区画。
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玄関周りのクローズアップ。荒く仕上げた花崗岩の切石を積み上げ、入口周りには彫刻を刻みます。
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玄関の西側の区画。実はこの建物は正確にはシンメトリーでは無く、西側区画の方が縦長窓三連分長く作られています。又途中に通用口が設置されているのも東側に無い特徴です。


建物東側の張り出し部分。正面上部と同じバルコニーと付柱を飾ります。
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こちらが西側の張り出し部。
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同年に建てられた島津製作所旧本社と同じく、設計に際しては武田五一が監修し、意匠設計者は武田五一の弟子が勤めており、島津製作所旧本社同様に武田五一の作風が色濃く表されています。


この庁舎が接するもう一つの大通り、河原町通りに面した東側も景観上重要なポイントです。この面も正面側と合わせた意匠の玄関やバルコニーが設けられています。
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バルコニーや玄関は正面側のものの幅を縮小した造り。玄関が右手にずれているのは構造上の理由でしょうか。
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京都市役所は平成27年から令和7年にかけて改修工事が行われ、本庁舎の北側と西側に増築部分が建てられました。以下は新築棟の足元から眺めた北面の様子です。
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こちらは西面の眺めです。
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※次回は建物内部を廻ります。


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2025年 05月 11日
島津製作所旧本社
京都市中京区の近代建築その16

河原町御池交差点を北へ進んで京都市役所を越えた先、河原町通りが姉小路通りと交わる一角に、島津製作所が本社を置いていた建物が残されています。現在はレストランや結婚式場として使われているこの建物は、昭和2年に建てられました。
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河原町通りに西面して建つ鉄筋コンクリート陸屋根造4階建て。
明治8年に創業した島津製作所の二代目の本社として建てられました。
武田五一の監修の元、弟子にあたる荒川義夫が担当したこの建物は、凹凸を抑えた平面に縦長アーチの窓型を並べたセッセション風の意匠を基本に、アールデコ、古典様式等の建築様式が入り交ざる昭和初期の武田五一の作風が受け継がれています。
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建物中央に配された玄関ポーチ。花崗岩のアーチ型で囲い、両脇に二本ずつ付柱を飾ります。
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各部の窓はこの時代らしい縦長窓を並べますが、玄関両脇のスパンには横長窓を配し、南側にはさらに1スパン分の横長窓を並べます。
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三階の窓は縦長アーチとし、四階の境を銅蛇腹で区切ります。四階と屋上の境も軒蛇腹で仕切られ、張り出した軒の上の陸屋根南北に塔屋を置きます。
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南側の塔屋は上部に正方形の屋根が架けられており、物見塔(展望台)として使われていました。


河原町通りに面した正面入り口の他に、建物北側にも庇を張り出した入口を構えます。竣工当時の写真を見ると建物北側に別棟(工場か)が建てられており、連絡口として使われていたものと思われます。
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2025年 04月 27日
京都ハリストス正教会生神女福音聖堂
京都市中京区の近代建築その15

丸太町通りを南へ折れて、柳馬場通りを下ります。静かな住宅街の一角に、明治期に建てられた木造教会が残されています。
ロシアビザンチン様式の木造教会として日本最古となるこの聖堂は明治36年に建てられました。
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この聖堂は、ロシア正教会の司祭ニコライによって創建された日本ハリストス正教会が京都における布教拠点として献堂したもので、ロシア正教会の基本図面に基づいて京都府の技師松室重光(京都府庁舎の設計者)が設計を手掛けました。
木造平屋建ての建物は正面玄関上部に鐘楼を構え、奥の聖所部分の屋根上には正教会の特徴とも言える丸屋根を乗せた造りで、ロシアビザンチン様式による教会建物の様式に則ったものですが、丸屋根(玉葱屋根)の規模や数は抑えられ、全体の装飾も簡素化されており、このスタイルはその後建てられる日本ハリストス教会聖堂の多くに影響を与えました。
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入口上部に構える鐘楼。屋根の先端に小さな丸屋根を乗せ、その上に八端十字架と呼ばれるロシア正教の十字架を掲げます。
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建物南面の眺め。建物は奥側に進むに連れて屋根高と幅員が増えて行く造りで、聖所最奥に置かれた聖障(イコノタス)に向けて徐々に空間が広まる視覚的効果が考慮されています。
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この面の入口も正面入り口と同じ造り。
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屋根上を飾る丸屋根。こちらも屋根上に小さな丸屋根、その上に八端十字架を掲げます。
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建物の東南角から北面へ進みます。東端には祭壇を置いた至聖所と呼ばれる区画を張り出します。
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北面も南面と同じ造り。西面南面と同様の入口を構えます。これら合計3か所の入口と東に張り出した至聖所によって構成される上から見て十字型の配置はハリストス教会の特徴の一つとなっています。
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南隣りの公園の境を仕切る煉瓦塀も竣工当時からのものと思われます。
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# by sunshine-works | 2025-04-27 11:28 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)