2007年 07月 23日
旧魚崎町役場

神戸東灘区の近代建築その5

現在の東灘区にあたる一帯は神戸市に編入される昭和25年までは幾つかの町や村に分かれていました。
区の中央に位置する魚崎もかっては魚崎町として独立した自治体でした。この建物は魚崎町役場として昭和12年に建てられたものです。設計:清水栄二設計事務所
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清水栄二の代表作である御影公会堂から4年後の作品ですが印象はかなり異なります。役場と公会堂という用途の違いからなのでしょうか。
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町役場として建てられたこの建物ですが、神戸市と合併後は診療所や文化センターを経て現在は区民センター分館として使用されています。
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装飾のほとんどは正面に集中しています。
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玄関ホールの庇
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ビスケットやウエハースを連想させる正面ファサードの飾り
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正面入口の飾り縁
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側面および裏面です。軒蛇腹以外は飾り気がほとんどありません。
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側面の入口
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御影公会堂もそうなのですが、この建物も水害、戦災、震災と3つの大きな災害を乗り越えて来ました。早くから耐震構造に着目していた清水栄二の設計した建物は同時代の建物の中でも頑丈な造りであった様です。(次回紹介する高嶋平介邸も阪神淡路大震災に際して周辺の建物郡が倒壊する中無傷で残りました)

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道を挟んで向かい側には同じく清水栄二が設計した魚崎小学校が建っていました。現在の魚崎小学校は元のイメージのまま2001年に建替えられたものです。清水栄二は神戸市内に数多くの学校を建てました。この魚崎小学校は市内で最後まで残っていた清水栄二設計の小学校でした。
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中央の円筒形の階段室が印象的です。
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# by sunshine-works | 2007-07-23 22:42 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 19日
御影公会堂

神戸東灘区の近代建築その4

国道2号線と石屋川の交わる辺りに一際目立つスクラッチタイル貼りの公会堂が建っています。この御影公会堂の建設にも白鶴酒造の嘉納家が深く係わっていました。
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昭和8年築。設計 清水栄二
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白嘉納家7代当主 嘉納治兵衛はこれまで紹介した様に灘中学校の創設や白鶴設美術館の建立に巨費を投じたのですが、更にもうひとつ、この御影公会堂の主要な資金提供者でもありました。建設費は当時の金額で24万円、その8割を嘉納家が拠出しており、実質的にはこの公会堂は嘉納家が作ったものと言えます。
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丸窓、アーチ窓、アールをつけたコーナーの処理、全体に貼られたスクラッチタイル、水平を強調する庇等この時代の建築スタイルを満載した建物です。
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この建物は面によってだいぶ表情が異なります。こちらは正面エントランス側です。
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エントランスホールの詳細
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正面側の1階と地下は西端がガラス張りの部屋となっています。
(地階はオムライスが有名な食堂です。)
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こちらは西面
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北西角~北面にかけて
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東面
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太い円柱が並ぶ館内通路
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最上階天井の明り取り窓
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ホールの入口扉
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大きな丸窓の正体はトイレ窓でした。
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それにしても灘中学の設立、白鶴美術館、そしてこの御影公会堂と10年足らずの間にたて続けにこれらの事業を成し遂げた嘉納家の資産力には驚くばかりです。
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設計者の清水栄二は灘の出身で神戸市営繕課を率いていました。同時期に兵庫県の営繕課長であった置塩章と競うように神戸中心に多くの建築を手がけました。東灘区には清水栄二の設計となる建築が他にも現存しています。この清水栄二の作品については次回とその次の回に紹介したいと思います。

# by sunshine-works | 2007-07-19 22:16 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 14日
白鶴美術館

神戸東灘区の近代建築その3

灘中学を設立した二つの嘉納家のもう一方、清酒白鶴の醸造元である白嘉納家は本嘉納家の分家として創業した灘五郷の中でも長い歴史を持つ蔵元です。
明治以降は積極的な海外戦略や新商品開発を行い、灘を代表する銘柄に成長していきます。この頃の当主である7代目嘉納治兵衛は東洋美術の愛好家としても知られ、数々の貴重な美術工芸品を収集していました。この建物はこれらの美術コレクションの収蔵館として建てられたものです。
昭和6年竣工、設計は竹中工務店の鷲尾九郎です。
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創建時に建てられた事務棟と本館(美術館)の2棟が主要な建物です。同時に建てられた土蔵は阪神淡路大震災で失われてしまいました。

最初に見えてくるのが事務棟です。この入口から入館します。
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事務棟を抜けると中庭を挟んで美術館が大迫力で迫ってきます。
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和洋折衷様式に分類されるのでしょうが、西洋技法で作った寺院建築と言ったイメージです。
RC造二階建、天井を高く取った大きな建物です。
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敷地手前側の事務棟と奥の美術館は回廊で結ばれています。
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美術館側から見た事務棟 右手が回廊です。
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美術館の1階部分です。
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重厚な鉄扉
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2階のテラスに出て見ます。美しい中庭の景色と神戸の街並みが望めます。
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展示品は撮影禁止ですが室内は写真OKとの事です。2階の展示室の様子。
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天井には白鶴の紋が描かれています。
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こちらは1階展示室 
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階段脇の附室にこんな灯具がありました。
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こちらは事務棟の内部
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これだけの建物が(収蔵されている美術品も含めて)一個人のコレクションの為に建てられたという事実は現在の目からすると驚くべきことです。当時の事業家の資産力は今日の経営者レベルとは比較にならない一桁も二桁も違う物のようです。
彼らの多くは(動機はともかく)社会奉仕として文化事業、公益事業に多大の寄付や貢献を行い地域文化を育んでいきました。
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# by sunshine-works | 2007-07-14 17:44 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 11日
菊正宗酒造本店

神戸東灘区の近代建築その2

東灘区には前回紹介した灘中学・高校の母体となった灘育英会の出資者である嘉納家(本嘉納家、白嘉納家)に関連する建物が残っています。その幾つかを順に紹介していきたいと思います。初回は清酒菊正宗の本嘉納家の本店建物です。
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区の南部、海岸線に沿って東側の魚崎郷から西の御影郷へ名だたる清酒銘柄の工場や酒蔵が続いています。御影郷にあるこの菊正宗酒造の建物は大正14年に建てられ現在も本店として使用されています。この界隈の酒造会社の中で唯一残る大正期の建物です。
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設計施工は宮崎工務店となっています。宮崎工務店については当事兵庫県内でも幾つかの建築を施工しているようなのですが、いろいろ調べてみても詳細は判りませんでした。

建物の三方が道路に面しており東と北面に入り口が設けられています。こちらは東面です。
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本館建物に隣接する別棟。倉庫か作業場なのでしょうか。
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北側が正面入り口になります。
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宮内庁御用達の看板が掲げられています。
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こちらは西側の面です。
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建物裏側。奥が本館、手前が別棟です。
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大正14年の竣工当時、木造や漆喰塗の蔵が並ぶ中に現れたモダンな石張の建物はその後日本一の生産量を誇るに至った同社のシンボルとして大切に使われて来ました。今の規格からは少々使い勝手の悪い建物かもしれませんが伝統産業である酒造会社の本社に相応しい風格は何物にも代えがたい物だと思います。
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# by sunshine-works | 2007-07-11 21:28 | 近代建築 兵庫県 | Trackback(1) | Comments(0)