2011年 03月 19日
岡山県津山市の近代建築その14 津山の中心街から西へ、出雲街道に沿った旧市外地の古い町並みの中に一際目立つ木造洋風建築が現れます。現在作州民芸館として使われているこの建物は、かつて津山を基盤として設立された土居銀行の本店建物として建てられました。大正9年築。 土居銀行は明治30年に創設された地場銀行でしたが、その後は当時の地方銀行と同様、周辺他行との合併を繰り返し、作備銀行、山陽銀行を経て現在の中国銀行の母体の一つとなりました。 岡山北部の中核都市津山を基盤としていた銀行に相応しく、重厚な古典様式に法った風格を備えた木造洋館です。 張り出した両脇の中央に設けられた玄関。 現在は民芸品や強度資料の展示施設として公開されており、館内は銀行店舗当時の状態が良く残されています。 遠景から眺めた側面。後ろ半分が腰屋根を乗せた寄棟になっています。 裏側の南面。2階に大きな窓、1階に回廊が巡らされ、正面側とは大きく様相が違なります。 隣の建物との狭い境に見える東面。 この旧土居銀行本店は、中小の銀行が乱立した時期の地方銀行建築として貴重な現存例であり、岡山県内では数少ない明治期の木造の銀行建物でもあります。 #
by sunshine-works
| 2011-03-19 23:26
|
Trackback
|
Comments(0)
2011年 03月 15日
岡山県津山市の近代建築その13 津山の中心市街の一角に大正6年築の病院建物が残されています。開業以来約80年に亘って中島病院本館として使われたこの建物は、現在同病院の記念館として利用されています。設計:池田豊太郎 木造2階建て、表面を掻き落としたモルタル壁仕様、正面玄関にはのコリント式柱で支えられたバルコニーを儲け、上部にドーム屋根を飾ります。個人病院としては中規模程度の大きさですが、装飾豊かで見所の多い建物です。 4本のコリント柱や石貼りの入口飾り、梁や庇に貼られたレリーフ等、意匠を凝らした玄関周りです。 掻き落としのモルタル壁に石枠で飾られた縦長窓が並びます。 以前は内部非公開でしたが、現在は自由に見学可能です。 大正期の医院建築の優れた現存例として極めて価値の高い建物と思います。 津山の中心市街地には多くの近代建築が現存していますが、随所に施された装飾や多彩な建築表現はこれらの中で随一とも思える素晴らしさです。 #
by sunshine-works
| 2011-03-15 23:52
| 近代建築 岡山県
|
Trackback
|
Comments(0)
2011年 03月 08日
西宮の近代建築その32 阪神甲子園駅の南側、甲子園浜にかけての一帯に昭和初期に阪神電鉄が開発した郊外住宅地が広がっています。 現在も戦前の名残を留める古い住戸が点在するこの一角に、当時の販売事務所兼モデルルームだった建物が残されています。昭和7年に建てられたこのモダンな洋風住宅はその後地域の自治会館に転用され、今日も現用施設として使われています。 阪急資本が山の手に多くの住宅地を開発していった大正後期から昭和初期、武庫川の支流跡地の払い下げを受けた阪神電鉄はこの地を都市近郊のリゾート地とすると共に、その周辺に住宅地を造成していきます。山の手に対して海の手と呼ばれたこの一帯も阪急沿線と並んで阪神間モダニズムの時代を代表する近代住宅地として開発されていきました。 一見すると周囲の家屋と見分けのつかない現代風の建物ですが、当時最先端のモダニズム住宅の要素が各部に盛り込まれています。80年を経た今も全く古さを感じさせません。 正面入口部分は大幅に改修されています。 切妻屋根の印象は純和風の色合いが強いのですが、洋風意匠を随所に取り込んだ近代和風とも言うべき垢抜けた仕様となっています。 この建物の特徴として、野趣に富んだ表現が各部に盛り込まれている事があげられます。それらの多くは内装に見て取れますが、2階の手摺や窓枠からも同種の趣が感じられます。 ★室内の様子はこちらのサイトに詳しい紹介があります。 昭和初期にこれ程の先進的な住宅が建てられていた事に驚かされます。現在の戸建て住宅の原型として極めて貴重で資料価値の高い建物と思います。 #
by sunshine-works
| 2011-03-08 23:47
| 近代建築 兵庫県
|
Trackback
|
Comments(2)
2011年 03月 04日
西宮の近代建築その31 西宮市の東南部にある武庫川女子大学は日本最大規模の女子大として知られています。このキャンパスの一角に前身の武庫川高等女学校の旧校舎が残されています。昭和14年、この地に建学された時に本館として建てられました。 木造2階建て、正面入口に大きな切妻屋根のファサードを構え、三角ペディメントに校章を象ったオーナメントを飾ります。時局が切迫していた時期の建物ですが、風格を備えた堂々たる意匠です。 記念館として保存されているのは旧校舎の中央部分です。この地域は近くに軍需工場があった事で戦時に激しい空襲を受けました。武庫川高等女学校の校舎も空襲により多くの被害を受けた様ですが、奇跡的に焼け残った中央部が残されたと思われます。 正面玄関。両脇に石柱が添えられ、床にも石が張られています。この時期の建物としては相当に贅を尽くした意匠と思えます。 側面は途中で切られているようで、断面は違和感の無い様に下見板で仕切られています。 この校舎は表と裏が殆ど同じ造りになっています。南側が裏面と思われますが、玄関上部にバルコニーがあるのとペディメントのオーナメントが異なる以外はほぼ同じでしょうか。 南面からの眺め。玄関はやや小さめとなっていますが、基本的な造りはほぼ共通の仕様に見えます。 広いキャンパスの中に残る小さな建物ですが、周囲に並び建つ現代建築の校舎に引けを取らない存在感を示しています。この武庫川女子大記念館は兵庫県内に残る数少ない旧制女学校の校舎として極めて貴重な現存例と言えるでしょう。 #
by sunshine-works
| 2011-03-04 23:42
| 近代建築 兵庫県
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
タグ
鉄道施設(189)
橋梁・隧道(184) 学校建築(146) 京都市(106) 住宅(99) 庁舎(92) 島根県(76) 広島県安芸地区(74) 愛媛県(73) 香川県(66) 神戸市中央区(66) 岡山県備中地区(65) 銀行(63) 事務所ビル(59) 兵庫県阪神地区(59) 岡山県備前地区(59) 兵庫県播磨地区(57) 京都府丹後・丹波地区(55) 兵庫県丹波・但馬地区(53) 軍事施設(50) 以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||