2017年 07月 29日
別子銅山東平地区に現存する産業遺産の続編は鉱石の集積、搬出に使われた施設を紹介します。 花崗岩を積み上げた貯鉱庫の壁面。上部下部共に第三通洞開通の翌年に完成しました。 ![]() ![]() ![]() ![]() 下部貯鉱庫の頂部に残る煉瓦構造物。上部貯鉱庫から運ばれた鉱石を選分けて下部貯鉱庫へ送る選鉱場の遺構です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 下部貯鉱庫前には索道施設跡の煉瓦構造物が残されています。鉱石はここから索道によって端出場地区へ運ばれ、さらに鉱山鉄道に積み替えて出荷されていきました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 上部の貯鉱庫と下部貯鉱庫、索道施設の間には斜面を登るインクラインが敷かれていました。現在その跡地には階段が設置されています。 ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-07-29 15:19
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2017年 07月 22日
愛媛県新居浜市の近代建築その7 マイントピア別子から県道を南へ。山道をひたすら進んだ先、別子銅山東平(とうなる)地区へ至ります。 ここにも明治中期から昭和初期に築かれた鉱山施設の数々が残されており、マイントピア別子東平ゾーンとして公開されています。 ![]() この東平地区は前2回にて紹介した端出場地区が開発される前の拠点で、明治35年の第三通洞開削を契機に昭和初期にかけて様々な鉱山施設が建てられました。 この東平は標高750メートル、冬場には積雪のある山深い地区ですが、周囲に社宅が築かれ、学校、病院、劇場、商店等が備わる鉱山町の暮らしが閉山までの70年に亘って営まれていました。 明治27年に着工し明治35年に完成した第三通洞。鉱脈に向けて水平に1.8km掘られた運搬坑道で鉱材の搬出や配水、換気に用いられました。その後に設置された端出場水力発電所へ用水を送る役目も担いました。 ![]() ![]() 11年後に開通した第四通洞に比べると間口が狭く、抗口も簡素な造り。美しい装飾を施した鉄扉が当時のまま残されています。 ![]() ![]() 坑内電車に積まれた鉱石は通洞から貯鉱庫へ運ばれます。この途中の起伏を抜ける箇所にはマンブと呼ばれるトンネルが掘られました。 ![]() ![]() ![]() 抗口、内壁共に切石貼り。レールは外され、当時使われていた鉱山機械が展示されています。 ![]() ![]() ![]() こちらは火薬庫として使われたトンネル。 ![]() 一段高い場所に建てられた煉瓦造の施設。明治37年に変電所として建てられました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 漆喰が塗られた内壁にアーチ窓が並びます。変電装置は撤去され、居住区画の名残りだけが残されています。 ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-07-22 17:52
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2017年 07月 15日
愛媛県新居浜市の近代建築その7 別子銅山端出場地区に残る産業遺産の2回目は二つの鉄橋を紹介します。 ![]() 前回紹介した第四通洞の正面にはトロッコ軌道が足谷川を渡る橋が架けられています。 単連プラットトラスのこの四通橋は大正8年に架けられました。 ![]() ![]() 昭和4年の第四通洞開通当時に使われていた木橋に代わる近代橋梁として4年後の昭和8年に竣工しました。 ![]() ![]() この四通橋は、竣工から昭和48年の閉山まで別子銅山の最盛期を支える動脈として半世紀に及ぶ歴史を刻み、その後は往時の姿を留めたまま保存されています。 ![]() ![]() ![]() ![]()
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| 2017-07-15 23:59
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2017年 07月 08日
愛媛県新居浜市の近代建築その6 旧山根精錬所から県道を南へ。山道を進んで程なく、別子銅山最後の採鉱拠点となった端出場地区に至ります。鉱山跡を利用した観光施設、マイントピア別子として公開されているこの場所には明治期から大正期に設置された多くの施設が現存しています。 ![]() この端出場地区がその後発展する契機となった第四通洞。明治43年起工、5年後の大正4年に開通。採鉱地点から鉱石を搬出する坑道で水平方向に4.5km掘られています。 ![]() イギリス積みに煉瓦アーチを組んだ抗口。笠石や帯石、付け柱を備えた重厚な意匠。扁額の文字は住友家当主の揮毫です。 ![]() ![]() 内部はトロッコの軌道が敷かれ、電力や通風、配水のダクトが通されました。 ![]() ![]() ![]() マイントピア別子の敷地に隣接して古い煉瓦建物が残されています。この建物は端出場水力発電所として建てられました。 ![]() 鉱山機械の動力が機力から電力へ移行する明治中期、別子銅山では自前の発電所を設けていましたが、増大する電力需要を賄う為、明治45年に大規模な発電施設を竣工させます。銅山川から取水し第三通洞を経て導水した用水による水路式水力発電所で、当時日本一の出力3000kWと有効落差560mを誇りました。 ![]() ![]() ![]() 煉瓦造平屋建て、切妻屋根の巨大な建物。 発電施設はその後最大4800kWに増強され、周辺地域のみならず沖合い20キロメートルの四阪島精錬所まで送られました。この時に敷設された海底ケーブルは当時世界一の長さとなりました。 昭和48年まで使用された後閉鎖されましたが、内部の設備はそのまま残されています。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-07-08 16:20
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2017年 07月 01日
愛媛県新居浜市の近代建築その5 新居浜市中心部から南へ。旧別子銅山へ繋がる山裾に新居浜市の運動公園が置かれています。この一帯は明治期に別子銅山の精錬施設があった場所で、移転後に住友鉱山が作ったグランドと周辺に築かれた社宅跡地が運動公園の基となりました。 昭和3年に竣工したこのグランドは当時の姿のまま残され、築89年を経た今も現役施設として使われています。 ![]() 西洋技術を導入して明治21年に竣工した山根精錬所でしたが、当時は脱硫方が未熟で付近に煙害をもたらし、僅か8年で廃止となります。その後の精錬施設は臨海部の惣開へ集約され、さらに沖合いの四阪島に移っていきます。 このグランドは廃止された精錬所跡に社員の福利厚生施設として築かれ、工事は公休を利用した社員の奉仕で行われました。 ![]() ![]() ![]() ![]() 国の有形登録文化財にも指定されている土木遺産としてのこのグランドの価値は階段状の観客席にあります。20段以上に亘って斜面に自然石を積み上げた規模は壮大で片面のみにも係わらず約3万人の収容力を備えます。 この一帯は戦後に新居浜市に編入されますが、昭和12年に市制施行した新居浜市の総人口が3万2千人だった事を考慮するとその大きさに驚きます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この山根グラウンドが設置された旧山根精錬所跡地には当時の遺構が残されています。 隣接する生子山(煙突山)の頂上に建つ煉瓦積みの煙突は明治21年に建てられました。 ![]() ![]() ![]() イギリス積み煉瓦造の角煙突。高さは約20メートル。麓の精錬所から煙道を介して山上のこの場所から排煙されました。煙突頂部の標高は320メートルに達しますがこの高さでも周辺農地への煙害を防げませんでした。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-07-01 17:12
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2017年 06月 24日
愛媛県新居浜市の近代建築その4 新居浜市の中心街の西方、丘陵地の裾の開けた一角に木造の旧駅舎が残されています。 この星越駅はかつて敷かれていた別子鉱山鉄道の途中駅として設置されたもので、昭和52年に廃線となった後も唯一この駅舎のみ残されています。 ![]() 当初牛車や人力に頼っていた別子銅山の運搬路ですが、増大する産出量に対応する為、明治中期に鉱山鉄道が設置されます。路線は山上の採鉱場から積み出す上部鉄道、中継基地の端出場から臨海部の惣開を結ぶ下部鉄道の2路線が敷かれ、上部鉄道の石ケ山丈と下部鉄道の端出場間は索道が渡されていました。この星越駅は下部鉄道の終点惣開から1駅目に置かれた駅舎で、大正14年に開業しています。 ![]() ![]() ![]() ![]() 木造平屋下見板貼り、正面左寄りに切妻屋根の破風と車寄せを設けます。当時の地方鉄道駅舎の一般的な造りですが、屋根に設けた三角窓や庇を飾るバージボード、妻面の通風口、軒下の持送り、縦長窓等々、細部にはモダンな意匠が用いられています。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
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| 2017-06-24 16:08
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2017年 06月 17日
愛媛県新居浜市の近代建築その3 新居浜市の臨海部、背後に住友系列の工場が連なる一角、住友化学工業の敷地の外れに明治期の銀行建物が残されています。現在は同社の資料館として使われているこの建物は明治34年に住友銀行新居浜支店として建てられました。 ![]() 新居浜の町の臨海部は明治中期に別子銅山の精錬所設置に伴って開発され、鉱山機械の工場や二次製品の工場が建てられていきました。周辺には従業員社宅や福利厚生施設も整備され、惣開と呼ばれたこの一帯は近代工業地帯に変貌します。 この銀行は別子鉱業所本部の隣に建てられ、付近には郵便局や住友系列の病院が並ぶ住友別子鉱業の企業城下町の中核を成していました。 ![]() ![]() ![]() 小さな建物ですが、各所に本格的な洋風意匠が用いられています。設計は住友本店臨時建築部と推測されており、後の住友工作部、長谷部竹腰建築事務所へ発展する「住友営繕」の最初期の作品の現存例となります。 ![]() ![]() ![]() ![]() モルタル壁面は溝が刻まれた石造風の仕様。上げ下げ式の縦長窓は竣工時のままに木枠が使われています。 ![]() ![]() ![]() 建物北側に並ぶ煉瓦造の蔵。同時期に建てられ金庫として使われていたようです。 ![]() ![]() ▲
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| 2017-06-17 21:38
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2017年 06月 10日
愛媛県新居浜市の近代建築その2 新居浜市の中心部、市役所や公共機関が並ぶ一角に目を惹く大きな和風建築物が建っています。 現在も新居浜市の武道場として使われているこの建物は昭和14年に建てられました。 ![]() 石塀で囲まれた敷地に南面して建つ重厚な近代和風建築。漆喰壁の壁面に格子窓を並べ、中央に2重の破風を配した玄関と車寄せを設けます。石積みの基壇、2層に重なる瓦屋根、屋根を飾る鬼瓦や鯱鉾等々、寺院や武家屋敷を思わせる意匠です。 ![]() ![]() 武徳殿は明治中期から戦前期にかけて財団法人日本武徳会によって全国主要都市に建てられた武道場で、戦後はその多くが各自治体に引き継がれ、幾つかは現在も現役で使われています。各地に建てられた武徳殿の多くは概ねこの建物に類似の和風意匠で建てられていました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 妻面の意匠。虹梁や束、蟇股、懸魚を配した本格的な寺院風の造りです。 ![]()
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| 2017-06-10 15:33
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2017年 06月 03日
愛媛県新居浜市の近代建築その1 新居浜市中心部の北方、臨海部の町並みの一角にかつての銀行店舗が残されています。現在は医院として使われているこの建物は旧芸備銀行新居浜支店として建てられました。昭和6年築。 ![]() 商店街の裏手、静かな住宅街の中に建つ木造モルタル造2階建て。元々は吹き抜けを設けた平屋でしたが医院への改装時に床を張って2階を設けたものと思われます。 ![]() ![]() 正面に並ぶアーチ型の窓型、何層にも重なる軒蛇腹、アールを付けたコーナー、三角形状に張り出した柱形、中央に設けた入口庇。小さな建物ですが当時流行の意匠を盛り込んだモダンな建物です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-06-03 19:28
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2017年 05月 27日
予讃線伊予土居駅の南東、旧街道に沿った家並みの途中に小さな煉瓦橋が架けられています。 県下で唯一の道路煉瓦アーチ橋となるこの松風橋は明治30年代の築と伝わります。 ![]() 四国山地から北流する古子川を渡る小さな一連アーチの煉瓦橋。路上からは境目が判り難く、うっかり見落としてしまいますが、河原に下りて側面に周ると煉瓦アーチならではの美しい姿を現します。 ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この時代の殆どの煉瓦構造物に用いられたイギリス積み。小規模なアーチ橋ですが4重に巻かれた迫石、上縁部の張り出し、切石を積んだ基礎等細部に拘った意匠が伺えます。 ![]() ![]() ![]() ▲
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| 2017-05-27 19:41
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