2019年 06月 16日
山陰本線郷川橋梁
島根の鉄道遺産

海岸線に沿って進む山陰本線は江津市の中心部で江の川下流の広い川幅を渡ります。5連のトラスを連ねるこの郷川橋梁は大正9年に架けられました。
f0116479_12225710.jpg


明治45年に京都~出雲今市間が結ばれた山陰本線はその後も東への延伸を続け、大正9年には浅利~ 都野津間が開通し石見江津駅が開業します。
この延伸区間最大の工事となったのが川幅500メートルに及ぶ江の川の渡河で、山陰本線としては兵庫県の旧餘部橋梁と並ぶ大規模な橋梁工事となりました。
f0116479_12252044.jpg
f0116479_12254955.jpg
f0116479_12272103.jpg
f0116479_12284400.jpg

中央に5連の単線曲弦ワーレントラス、その前後にプレートガーダーを連ねます。橋長486mは島根県の鉄道橋で最も長いもの、山陰本線全線でも鋼橋として最長となります。
f0116479_12294617.jpg

コンクリート製の橋脚は島根県内に現存する中でも初期のもの。全国的にもこの橋が架けられた大正後期頃にそれまでの煉瓦・石積み橋脚からコンクリート橋脚へ移行していきました。
f0116479_12313567.jpg

5連のトラス桁はそれぞれ製造者が異なり、当時を代表する橋梁メーカーの4社が受け持っています。
f0116479_12322727.jpg
f0116479_12324095.jpg
f0116479_12350935.jpg


美しい曲線を描く5連のトラス。左岸からの眺めです。
f0116479_12332246.jpg
























# by sunshine-works | 2019-06-16 11:42 | 近代建築 島根県 | Trackback | Comments(0)
2019年 06月 09日
旧郷野小学校
広島県安芸高田市の近代建築

安芸高田市の中心部吉田地区から南西方向、長閑な田園地帯の一角に昭和10年に建てられた木造校舎が残されています。
この建物は安芸高田市立郷野小学校の校舎として平成31年の閉校まで80年以上に渡って使われました。
f0116479_12514748.jpg

木造2階建て下見板貼りの寄棟造。中央に玄関を設け、上部に三角破風を立上げます。当時の木造校舎の一般的な意匠ですが、玄関周りやファサードに凝った装飾が施されています。
f0116479_13162477.jpg
f0116479_13180210.jpg
f0116479_13182822.jpg

f0116479_13165624.jpg

玄関周り詳細。ハーフティンバー風の破風、壁面はドイツ壁仕上げ。丸型の通気口がアクセントになっています。
f0116479_13185304.jpg
f0116479_13191789.jpg
f0116479_13193308.jpg

f0116479_13203726.jpg


玄関内部の様子。
f0116479_13254307.jpg

この郷野小学校は平成31年3月で休校となりましたが、1年建った現在もその後の用途が定まらず、再生に向けて模索中のようです。
広島県内で戦前に建てられた木造校舎として希少な現存例で、意匠的にも優れたこの建物がどう活用されるか、気になるところです。
f0116479_13242699.jpg
f0116479_13213004.jpg

正面玄関の他に、校舎の左右に入口が設けられています。
f0116479_13251669.jpg


校舎裏側からの眺め。
f0116479_13262689.jpg
f0116479_13260844.jpg


# by sunshine-works | 2019-06-09 11:54 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)
2019年 06月 02日
時報塔
東広島市の近代建築その6

東広島市の北部、長閑な田園地帯の一角にコンクリート造の小塔が立っています。
この塔は時を知らせる鐘楼として大正11年に建てられました。
f0116479_23420906.jpg

四角断面の鉄筋コンクリート造、高さは7,8メートル。上部に木造の屋根を懸けます。
石造風に仕上げた壁面には時に因んだスローガンが掲げられています。
f0116479_23430054.jpg
f0116479_23432441.jpg
f0116479_23435364.jpg

この鐘楼は志和地区の在郷軍人会が設置したもので、竣工時は当地出身のアメリカ在住者から寄付された鐘で時を告げていました。
時報機能は戦時中にサイレンに置き換えられ、現在も定時に時を告げています。
f0116479_23442871.jpg
f0116479_23494177.jpg
f0116479_23512919.jpg

この塔が建てられている一角は地区の中心とは言え周囲は田畑ばかり、やや離れて酒造会社があるだけの長閑な地域で決して人口密集地ではありません。
塔の設立に際してこの地区出身の在米移民者15名が鐘を寄贈したとありますが、この数字を見ると当時の広島県が如何に多くの海外移民を送り出していたかが伺えます。
f0116479_23520211.jpg
f0116479_23523253.jpg

3面には時に纏わる標語を刻みます。文字の頭に付いている星印は塔を設置した在郷軍人会に因むもので、旧陸軍の五芒星と呼ばれる記章が刻まれています。
f0116479_23551782.jpg
f0116479_23530196.jpg
f0116479_23532371.jpg
f0116479_23535271.jpg

三面に刻まれたスローガンの詳細。「時間節約」。
f0116479_23464217.jpg
「時ハ金」
f0116479_23475377.jpg

「定時慣行」
f0116479_23484152.jpg



# by sunshine-works | 2019-06-02 10:56 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 26日
西条蔵元の煉瓦煙突
広島県東広島市の近代建築その5

清酒蔵元が集まる山陽本線西条駅南の一角は白壁土蔵造りの蔵が並ぶ風情ある町並みを形成していますが、この通りの景色を特徴付ける要素のもう一つが各蔵元毎に聳え立つ煉瓦煙突です。
明治期から大正期に相次いで建てられたこれらの煙突は西条清酒の発展を支えたモニュメントとして大切に残されています。
f0116479_01263995.jpg


西条の酒蔵通りには現在12本の煉瓦製の煙突が残されています。
四角断面に組んだイギリス積み煉瓦煙突の高さは凡そ15メートル~20メートル超、煉瓦の殆どが近隣の安芸津で焼かれたものと言われています。
f0116479_01351978.jpg

賀茂鶴酒造の煙突。広大な敷地には蔵毎に煙突が建てられています。
f0116479_01401022.jpg
f0116479_01381352.jpg
f0116479_01371584.jpg
f0116479_01374294.jpg
f0116479_01391487.jpg
f0116479_01412203.jpg
f0116479_01384208.jpg
f0116479_01420770.jpg

煙突の形は上部がやや窄まった四角柱で頂部に蛇腹を設けます。多くの煙突はこの賀茂鶴酒造の煙突に見られるように四隅を鉄枠で補強しています。
f0116479_01422700.jpg
f0116479_01424099.jpg
f0116479_01431074.jpg
f0116479_01433570.jpg
f0116479_01441773.jpg


亀齢酒造には西条の煙突群の中で唯一の丸煙突が残っています。
f0116479_01461399.jpg


西条に現存する煉瓦煙突で最も高い福美人三号蔵煙突の高さは27メートル。
f0116479_01443522.jpg
f0116479_01445093.jpg

西条の煉瓦煙突は精米を蒸す蒸気を得るための石炭ボイラーの排煙用に立てられたものです。
これらは石炭から他の燃料に移行する昭和後期になるとその役目を終えますが取り壊される事なく残され、自社の銘柄を掲げた看板塔として利用されています。
f0116479_01450694.jpg
f0116479_01452880.jpg
f0116479_01455097.jpg
f0116479_01463065.jpg
f0116479_01465432.jpg
f0116479_01471392.jpg
f0116479_01480281.jpg
f0116479_01473618.jpg
f0116479_01525829.jpg
f0116479_01531049.jpg
f0116479_01532812.jpg
f0116479_01535045.jpg

西条の煉瓦煙突の中で唯一現用で使われている西條鶴酒造の煙突。
f0116479_01540966.jpg





















# by sunshine-works | 2019-05-26 11:31 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)