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旧小寺源吾別邸


神戸東灘区の近代建築その9

東灘区の山の手、旧住吉村や御影町の高級住宅街についてはこれまで紹介してきましたが、阪神電鉄沿いの深江も戦前に開発された住宅地として知られています。この地区は別名を深江文化村と呼ばれ、多くの文化人が居住していました。残念ながら当時建てられた文化村の建物は今では4棟を残すのみとなってしまいました。
この深江地区に隣接した海辺の一角にW.M.ヴォーリズ設計の住宅が現存しています。大日本紡績(旧尼崎紡績、現在のユニチカ)の社長を務めた小寺源吾の別邸だった建物です。


小寺源吾は住吉村に自邸がありました。この深江の家は海辺の別荘・別邸として使用されていたようです。

この地にヴォーリズの設計した建物があることは知りませんでした。こちらのブログでこの建物の事を知り訪ねてみました。(ノン様ありがとうございました)
深江文化村の設計にはヴォーリズの弟子、吉村清太郎が係わっていますのでヴォーリズ自身の建築があっても不思議のない場所柄なのですが以外にも文献やWeb上でこの建物の存在は触れられていませんでした。

細部のディティールです。ヴォーリズらしさが随所に見られます。


1階正面のテラス。いかにも別荘らしい造りです。


この建物に特徴的なのが1階の各窓に取り付けられた美しい飾り格子です。



裏側の窓の格子。

裏側および勝手口


戦後当地に酒造工場が造られた際に敷地ごとこの建物が移管されたようです。現在はこの酒造会社の貴賓館として使われています。
歴史的価値のある建物を会社の迎賓館、来客施設として利用している例は他にもよく見られます。時代に裏付けられた風格と気品を備えた建物はもてなしの場として相応しい使われ方だと思います。