2008年 07月 26日
神戸中央区の近代建築その64 北野の異人館街の東隣り、観光ルートの外側のこのあたりからは落ち着いた街の雰囲気となります。マンションの敷地に取り込まれたように建つこのスパニッシュスタイルの洋館はニューヨークナショナルシティ銀行の社宅として昭和6年に建てられました。設計W.M.ヴォーリズ 戦前の代表的な外資銀行だったナショナルシティ銀行は関西では神戸と大阪に支店を設けていました。W.M.ヴォーリズは同銀行の神戸支店を設計していますが、他に神戸支店、大阪支店の社宅も手がけました。神戸支店長宅として建てられたこの建物と西宮市にある元大阪支店の社宅が現存しています。 ナショナルシティ銀行の社宅として建てられたこの建物ですが、昭和16年に銀行自体が閉鎖されてしまい、その後は個人邸として使われて来ました。現在は日比谷花壇のフラワーアレンジメントスクールになっています。 久々目にするスパニッシュスタイルの建物です。北野の異人館街は大正初期にほぼ造成が終わっていたためでしょうか、大正から昭和に流行ったこの様式の建物を見かけません。大きなベランダと張り出し窓を特徴とするコロニアルスタイルの仰々しさに比べると装飾を抑えて実用本位に造られたこの様式はやはり1世代進んだ印象を受けます。 スタッコ仕上げの壁面や独特の煙突形状、窓の意匠等ヴォーリズらしさが各部に表現された建物です。 北野の異人館の多くは和風の浅瓦が多く使われていました。その中でこのスパニッシュ瓦は新鮮な印象です。 室谷邸が失われた今では、阪神間に建てられたヴォーリズ設計の現存する個人邸としては最も西に位置する建物となってしまいました。異人館とはまた違った歴史的価値を持つこの建物も、貴重な文化遺産として高く評価されるべきものと思います。
by sunshine-works
| 2008-07-26 23:57
| 近代建築 兵庫県
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