2008年 06月 16日
神戸中央区の近代建築その54 異人館通りと交わる北野坂を上っていく左手に旧シェー邸が見えて来ます。この館は幾度か持主が代わり現在は神戸市の管理物件となっています。明治40年築。 案内板によると、この建物は元々はこの場所から北東300メートル離れた場所に建っていたそうです。阪神淡路大震災で大きな被害を受けた後に神戸市が譲り受けてこの地に移設、北野物語館の名称でカフェ&資料館として公開されていましたが現在は閉館されています。 アメリカ人シェー氏の邸宅として建てられ、その後数度所有者が変わりましたが、NHKの朝のドラマのモデルとなったドイツ人パン職人が最後の所有者となりました。(旧神戸ユニオン教会に店舗を設けたフロインドリーブ氏の実家) 北野地区が観光名所となるきっかけとなったドラマ所縁の建物として、後ほど紹介するトーマス邸と並んでシンボル的な存在でした。 寄席棟造、下見板張り、白いペイントの外壁と深緑に塗られた窓は北野に良く見られるパターンです。他の多くの異人館にあるガラスを張ったベランダはごく小さめとなっています。 移築された際に修復が施されており、各部の状態は悪くないのですが、閉館して数年経過しているのが気がかりです。通気や保守は行われているとは思いますが空家で放置すると建物の劣化が進むとは良く言われる事です。 閉ざされたままの玄関と窓。 網代組の天井。灯具は当時のものでしょうか? 震災でかなりのダメージを受けたそうですが、修復に際しては昔の資料に基づいてオリジナルに近い状態が再現されています。新旧の部材が使われていると思われますが違和感無く仕上がっています。 隣接する南側は空き地となって造成工事が進められています。今まで見れなかった南西側の様子が良くわかります。(隣地に何が出来るかも気になります) 北野坂の目立つ場所に佇むこの建物がこの後どうなるのか、非常に気がかりです。 折角修復した建物をこのまま放置されたような状態で置いておくのは何とも勿体ない事です。
by sunshine-works
| 2008-06-16 01:18
| 近代建築 兵庫県
|
Trackback
|
Comments(2)
Commented
by
しなの号
at 2011-05-05 23:58
x
sunshine-works様、こんばんは初めまして。しなの号と申します。
最近関西に引っ越して、観光地を検索していた際に偶然こちらの「近代建築Watch」にたどり着いたのですが、建築素人にも分かりやすい説明と、綺麗な写真がたくさん載っているので、たいへん楽しませて頂いています。 さてところで、既にご存じかもしれませんが、この「旧シェー邸」は現在なんと「スターバックス」になっています。 有料の公開異人館や、レストランとして営業している所はいくつかありますが、普通の喫茶店感覚で入れて長時間くつろげる異人館はそうそう無いのではないでしょうか。 室内の家具も趣のあるもので揃えられており、好きな席を自由に選んでコーヒーを飲めるので、まるでこの館の住人になったかのような気分が味わえます。 また、南側の建物がいつの間にか無くなって、かなり見晴らしが良くなっています。 機会があればぜひ一度訪ねられてみてはいかがでしょうか。 これからも素敵な記事を期待しております。
0
Commented
by
sunshine-works at 2011-05-07 19:45
しなの号さん 始めまして。
この写真を撮った頃はこの先どうなるのか心配していましたが、その後スターバックスの店舗になって一安心しました。 北野へ向かう観光客が行き交う好立地に位置し、飲食店としての用途は大正解ではないでしょうか。日本中のスターバックスの中でも飛び切り素敵な店舗だと思います。 |
アバウト
カレンダー
カテゴリ
タグ
鉄道施設(189)
橋梁・隧道(184) 学校建築(146) 京都市(106) 住宅(99) 庁舎(92) 島根県(76) 広島県安芸地区(74) 愛媛県(73) 香川県(66) 神戸市中央区(66) 岡山県備中地区(65) 銀行(63) 事務所ビル(59) 兵庫県阪神地区(59) 岡山県備前地区(59) 兵庫県播磨地区(57) 京都府丹後・丹波地区(55) 兵庫県丹波・但馬地区(53) 軍事施設(50) 以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||