2008年 02月 04日
神戸中央区の近代建築その22 海岸通りに並ぶビルをひと通り廻ってきましたが、東へ戻って旧居留地の内側地区へ探訪を進めていきます。 チャータードビルから1本北側の通り(京町筋)に面して一際大きな建物が建っています。現在は神戸市博物館となっているこの建物は旧横浜正金銀行神戸支店として昭和10年に建てられました。設計:桜井小太郎 国際貿易港である神戸にとって不可欠の外国為替を扱う銀行として置かれたのがこの横浜正金銀行の神戸支店です。ドーリア式のジャイアントオーダーを廻らした古典様式の重厚なデザインは体外的な威厳と信頼を示すかの様な迫力と存在感があります。 先に紹介したチャータード銀行とこの横浜正金銀行、そして香港上海銀行の3行は共に外為銀行としてアジア各地で覇を競い合う関係でした。横浜正金銀行は後発ではありましたが政府や財界の庇護の下で積極的に海外に支店を設け、日本企業の海外進出を支えて行きました。 設計者の桜井小太郎は海軍建築技官から三菱地所を経て独立し大手企業の社屋を中心に各地に作品を残しました。 有名なところでは丸の内ビルディングの設計者として知られています。 三菱地所時代に数多くの銀行を手掛けただけあって晩年のこの建物も手馴れた銀行建築の基本を堅実に守ったオーソドックスな造りに見えます。新しい建築様式の波が広がりつつあった昭和10年の築ですが、しっかり古典主義の孤塁を守っているような印象です。 オーダーを廻らした銀行建築独特のスタイルは博物館に良く似合います。 簡素ながら力強い印象のドーリア式オーダー 長く突き出した庇が特徴的な玄関エントランス 建物側面は装飾要素をあまり置かずにあっさりした仕様です。1階の窓のグリルが整然と連なります。 このような典型的な銀行建物はギリシア建築に範を取ったデザインだけあって美術館には最適の器となります。頑丈で厳かなイメージから様々に転用される銀行建物の中でも最も理に適った使われ方ではないでしょうか。各地で統合や廃止によって失われていく銀行も街のギャラリーやアートスペースとして再生する道は無いものでしょうか。
by sunshine-works
| 2008-02-04 21:58
| 近代建築 兵庫県
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