|
2007年 12月 22日
神戸中央区の近代建築その13 大正末に開発された新港には4つの突堤が築かれました。その中の一つ、第4突堤(当初第1突堤でしたが後に第4突堤に名称変更されました)は海外航路の客船が接岸する埠頭として使われていました。現在この埠頭には中国との国際定期フェリーや九州を結ぶフェリーの乗船施設:ポートターミナルが置かれていますが、その北隣にはかっての乗船場であった建物跡が残されています。設計施工データは不詳ですが昭和初期の建物と思われます。 ![]() ![]() この建物は現在置かれているポートターミナルと同様に乗船ターミナルでした。渡航者はこの埠頭まで敷かれていた臨港線の列車に乗って到着し、そのまま乗船するようになっていました。大きな船が出港する時は遠く京都からポートトレインと呼ばれる直通列車が運行されることもあったようです。 ![]() ![]() 乗船場と臨港線の終着駅が一体になった施設です。3階建の中央建物を挟んで1階部分が左右に長く延びています。1階部分は倉庫・荷役作業場となっています。 ![]() ![]() ![]() 正面玄関跡です。列車を降りた乗客はこの扉から入って階段を上がり2階(1階の屋上)の乗船デッキからタラップで船に乗り込みます。 ![]() 玄関を内側から ![]() 乗船口へ昇る階段。 ![]() ![]() 乗船デッキから2階3階部分の眺望 ![]() ![]() 船が唯一の渡航手段だった時代に多くの渡航者や送迎者で賑わっていたこの建物も、現在は周囲に造られた高架道路や歩道橋に埋もれてしまって見る影も無くなってしまいました。港の歴史を伝える歴史遺産として新港に残る他の建物が交易の変遷を物語る施設であるのに対して、この乗降場跡は船客施設として残る唯一の遺産となっています。 ![]() この建物は現在、みなと総局(神戸港を管理する部局)が使用しているのですが別の建物に移転することが決まっており、空家となった後がどうなるか非常に気になるところです。船旅華やかなりし頃を偲ばせる記念施設として再生活用されると良いのですが。 ![]()
by sunshine-works
| 2007-12-22 23:44
| 近代建築 兵庫県
|
Trackback
|
Comments(7)
窓の鉄格子は戦後のものでしょうか? 戦中の鉄不足で供出したもの多いですから、当時のものだとすれば貴重ですね。
0
確かに戦時の事を考えると多くの建物が鉄材を供出したようですね。この建物の面格子はかなりの年期が経っている様に見えましたが、戦後すぐに修復されたとしても60年以上経過していることになるので見た目だけでの判断は難しいですね。潮風に晒される環境だけに風化具合での判断もつけ難いですし。デザイン的には時代を感じさせる物ではありますが、正確なところどうなんでしょうか。
戦後にしても今まで残っていることに感激です。 この手の格子は見た目で重く、撤去されがちです。 倉庫という視点で考えると、そうそう一般人は近寄らない施設ですので、それで今まで残っていたのかもしれませんね。 また記事の中で中国との国際定期フェリーがあるとのこと。
昔から中国との交易が盛んだったのでしようか。正面玄関のガラスが中華風で当時を偲ばせます。
古い話で言えば平清盛の時代に日宋貿易の拠点だったことがあります。戦前に話を絞れば中国は輸出相手国の第一位でした。関西地区の繊維産業や軽工業にとって中国大陸は大きな市場でした。
言われてみれば玄関ガラスは中華風にも見えますね。
初めまして!
以前から この昔の船客ターミナルの中を見てみたいと思っていまして、その願いがかなった気持ちになりました! ありがとうございます。 新港5突にも この建物とはちょっと違いますけど、昔の船客ターミナルビルの名残のある上屋がありますね! もう 神戸港では この手の古いターミナルビルは、2棟だけかと思いますので 5突は川西倉庫さんが使用されていますから せめて 4突のこの建物は 保存公開してもらえたらいいなって思います!
こちらこそ初めまして。
この建物は基本的に館内は途中までしか立入できませんが、警備員の方にお願いしてちょっとだけ撮影させていただきました。写真に撮れなかった部分がもっとあるのですが、ほとんど当時そのままの状態が残されていました。 5突にも船客施設があったとは知りませんでした。 古そうな建物がいくつかあるのは気が付いていたのですが・・・・。 DAIさんのWEBページは神戸の情報が満載で参考になります。すばらしい鳥瞰図には感激です。これからも情報を宜しくお願いいたします。
sunshine-worksさん
どうもありがとうございます! この4突の昔の船客施設 そう遠くない内に 公開されるチャンスがやってきそうなので その際には またご連絡差し上げますね! 内部は ほぼ当時のままで残されているそうなので、とても興味が沸きますし、 これは神戸港の歴史そのものだと思います。 保存 活用してほしい施設の一つですね! 新港の倉庫群と合わせて 近代神戸を支えた地区として 大事にしたいです。 |
アバウト
カレンダー
カテゴリ
全体 近代建築 愛媛県 近代建築 広島県 近代建築 島根県 近代建築 京都府 近代建築 徳島県 近代建築 鳥取県 近代建築 香川県 近代建築 岡山県 近代建築 兵庫県 近代建築 近代建築 山口県 近代建築 高知県 タグ
橋梁・隧道(196)
鉄道施設(192) 学校建築(156) 京都市(135) 庁舎(104) 住宅(101) 島根県(76) 広島県安芸地区(74) 愛媛県(73) 銀行(69) 香川県(66) 神戸市中央区(66) 岡山県備中地区(65) 事務所ビル(64) 兵庫県阪神地区(59) 岡山県備前地区(59) 兵庫県播磨地区(57) 京都府丹後・丹波地区(55) 水利施設(55) 兵庫県丹波・但馬地区(53) 以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||