2007年 10月 20日
神戸高校本館
神戸灘区の近代建築その16

さらに灘区を西へ進みます。阪急電鉄王子公園駅方向から続く坂の上に県立神戸高校が見えてきます。神戸尋常中学校として創設された神戸市の中でも古い歴史を誇る公立の名門校です。この校舎は近年に建て替えられたのですが玄関を含む一角は創建時の建物がそのままの形で残されています。昭和13年築(平成13年改築) 設計:兵庫県営繕課
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坂を登っていくと最初にこの印象的な正面ファサードが見えてきます。
高校(開校時は旧制中学校)の校舎なのですがまるで西洋の城郭を連想させるデザインです。(在校生には実際にロンドン塔と呼ばれていたそうです。)
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玄関周りと正面外壁と構造部分を残して後ろ側の新造部分に繋げています。以前紹介した芦屋警察署の建替え時と同様な手法で施工されています。因みに芦屋警察署も兵庫県営繕課が設計したものです。(両方の建物ともに建替工事も兵庫県営繕課が施工しています)
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三連のアーチが連なる玄関入口や3階の大きなアーチ窓、両サイドや塔屋に張り出した小塔など中等学校の校舎とは思えない豪奢で凝った造りです。
神戸高校のホームページによると同校が理想としたイギリスのパブリックスクール精神を体現する為にあえて城郭の様なデザインとしたそうです。
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この部分が新旧の建物の繫ぎ目です。
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老朽化したこの校舎の修復を巡っては建替え・保存の両面が検討されました。
震災で大きな被害を受けた兵庫県としては古い建物に対して慎重な態度をとらざるを得ないのでしょう。耐震強度が疑わしい物は建て替えてしまう方が確実で間違いがないとの判断で当初は取り壊し案が優勢でした。大勢が利用する学校施設なのでより神経質になった様です。実際に検証してみるとコンクリートの強度は現在の規格を上回る丈夫さを示し補強で充分対応が可能とのことから最終的にこのような形で部分保存されました。
しっかりと造り込んだ当時の施工業者の腕の確かさが実証された形となりました。

老朽化した建物の保存・再生の方法は様々に試みられています。新旧の建物を繫ぎ合わせるこの方法はそれこそ木で竹を接いだような不自然な物になりそうにも思えますが意外と違和感なく仕上がっている例が多いようです。組み合わせ処理の巧みさもあるのでしょうがオリジナル部分が素材として優れていた事も重要なポイントだと思います。
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by sunshine-works | 2007-10-20 12:20 | 近代建築 兵庫県 | Trackback(1) | Comments(0)
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