2007年 09月 10日
神戸灘区の近代建築その6 阪急六甲駅からバスに乗って六甲の山並みを昇っていきます。傾斜のきつい坂が数回続いて程なくすると神戸大学の校舎が見えてきます。この六甲台に広がる神戸大学のキャンパスは前身の神戸商業大学時代の昭和10に移転開校した校地です。ここには開校当時の建物として兼松記念館、社会科学系図書館、講堂、六甲台本館の4棟が現存しています。これから4回に亘ってそれぞれ紹介していきます。 神戸大学の第1回目は兼松記念館です。「兼松」とはかっての総合商社で現在も商社として活動している兼松の事です。この校舎は兼松が商業研究所として寄贈したものです。昭和9年築。設計文部省。 兼松は神戸で創業した豪州との交易会社に端を発します。貿易で成功した同社らしく東西の商科大学(神戸商業大学と東京商科大学 *後の一橋大学)にそれぞれ校舎を寄贈しています。 同時期に建てられた本館と共通するデザインとなっています。本館を縮小したようなイメージですが玄関周りのアプローチはかなり異なった造りです。 太い柱と分厚い屋根が特徴的な玄関部分。 正面側は単調な平面で仕上げられていますが、整然と並ぶ窓の列が心地よいアクセントになっています。 裏側は両翼が付け足されてコの字型になっています。 正面、側面の入口扉 北側と南側の側面 兼松は六甲台へ移転する前の旧神戸高等商業学校時代(現在の中央区野崎通り)にも校舎を寄贈しています。当時は企業が教育機関へ多額の寄付や援助をするのはそれほど珍しいことでなかったようですが2度に亘っての神戸商業大学への校舎寄贈や東京商科大学への校舎寄贈など商業人育成に掛けた兼松の熱意は相当なものがあったようです。
by sunshine-works
| 2007-09-10 03:36
| 近代建築 兵庫県
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