2007年 07月 14日
神戸東灘区の近代建築その3 灘中学を設立した二つの嘉納家のもう一方、清酒白鶴の醸造元である白嘉納家は本嘉納家の分家として創業した灘五郷の中でも長い歴史を持つ蔵元です。 明治以降は積極的な海外戦略や新商品開発を行い、灘を代表する銘柄に成長していきます。この頃の当主である7代目嘉納治兵衛は東洋美術の愛好家としても知られ、数々の貴重な美術工芸品を収集していました。この建物はこれらの美術コレクションの収蔵館として建てられたものです。 昭和6年竣工、設計は竹中工務店の鷲尾九郎です。 創建時に建てられた事務棟と本館(美術館)の2棟が主要な建物です。同時に建てられた土蔵は阪神淡路大震災で失われてしまいました。 最初に見えてくるのが事務棟です。この入口から入館します。 事務棟を抜けると中庭を挟んで美術館が大迫力で迫ってきます。 和洋折衷様式に分類されるのでしょうが、西洋技法で作った寺院建築と言ったイメージです。 RC造二階建、天井を高く取った大きな建物です。 敷地手前側の事務棟と奥の美術館は回廊で結ばれています。 美術館側から見た事務棟 右手が回廊です。 美術館の1階部分です。 重厚な鉄扉 2階のテラスに出て見ます。美しい中庭の景色と神戸の街並みが望めます。 展示品は撮影禁止ですが室内は写真OKとの事です。2階の展示室の様子。 天井には白鶴の紋が描かれています。 こちらは1階展示室 階段脇の附室にこんな灯具がありました。 こちらは事務棟の内部 これだけの建物が(収蔵されている美術品も含めて)一個人のコレクションの為に建てられたという事実は現在の目からすると驚くべきことです。当時の事業家の資産力は今日の経営者レベルとは比較にならない一桁も二桁も違う物のようです。 彼らの多くは(動機はともかく)社会奉仕として文化事業、公益事業に多大の寄付や貢献を行い地域文化を育んでいきました。
by sunshine-works
| 2007-07-14 17:44
| 近代建築 兵庫県
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