2025年 10月 05日
旧三田尻塩務局小松志佐出張所
山口県周防大島町の近代建築

山口県の南東部、狭い水道を挟んだ沖合に瀬戸内海で三番目に大きな島、周防大島が位置します。
この海峡を橋で渡り、島の外周道路を西へ暫く進んだ先、海沿いの集落の一角に朽ちかけた木造建物と煉瓦建物が残されています。
これらの建物は三田尻塩務局の小松志佐出張所として明治39年に建てられました。
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二つの棟がL型に繋がる本館部分。木造平屋建て寄棟造下見板張り和瓦葺き。
左手の事務所棟は換気用に設けられた屋根窓、右手の検査棟は回廊を覆う庇を支える木造アーチが意匠のポイントで、建物の配置や構成は同時期に全国に建てられた塩務局出張所の基本形を踏襲しています。
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降水量が少なく波穏やかな瀬戸内海沿岸は古くから製塩業が栄えました。山口県の臨海部も各地に塩田が開かれましたが、この塩務局出張所が置かれた周防大島の小松地区もその一つで、江戸期から昭和40年代まで入浜式製塩が行われていました。
山口県では防府市三田尻と並ぶ二大産地だったこの地に塩務局出張所が置かれたのは塩の専売制度が開始された明治38年の翌年の明治39年で、この年に全国48か所で一斉に開局された出張所の一つでした。
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検査棟の裏側です。
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道路に出て建物側面の眺め
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敷地の隅に建つ煉瓦倉庫。塩を保管する為のもので、防湿対策として煉瓦が使われています。
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by sunshine-works | 2025-10-05 11:30 | 近代建築 山口県 | Trackback | Comments(0)


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