2025年 09月 28日
旧桜圃寺内文庫
山口県山口市の近代建築その13

山口市の中心部の東、山口線宮野駅北西の県道沿いの一角に、朽ちかけたコンクリート造の建物が残されています。
この建物は、朝鮮総督を務めた寺内正毅が朝鮮半島で収集した古文書や資料を収蔵する私設図書館として大正10年に建てられました。
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この場所はかつての寺内正毅邸宅跡地で、その一角に建てられたこの文庫が唯一現存する建物となります。
実際に文庫の設立にあたったのは寺内正毅の長男の寺内寿一で、寺内正毅はこの文庫の完成を見る事なく竣工の二年前に亡くなっています。
大正10年に建てられたこの文庫は鉄筋コンクリート二階建て、高さの異なる立方体のブロックを段違いに並べた独特な建物配置で、当時としても斬新な意匠に仕上げられました。
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中央に構える入口の鉄扉。両脇の持ち送りで庇を支えます。
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側面から裏側の眺め。現在はすべての窓が板で塞がれていますが、当時は大きなガラス窓が貼られ、鉄製の面格子で飾られていました。
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文庫は戦後に山口女子専門学校の図書館として引き継がれますが、昭和53年に図書館としての役割を終えた後は長く空家の状態が続いています。


by sunshine-works | 2025-09-28 11:30 | 近代建築 山口県 | Trackback | Comments(0)


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