2025年 09月 21日
旧宮島水源地ポンプ室
山口県山口市の近代建築その12

前回紹介した旧制山口高等学校講堂から県道を南東へ進み、橋を渡った先で右へ折れて程なくすると山口市水道局の宮島水源地へ行き付きます。この敷地の一角に、山口市営水道開設時に設置されたタイル貼りの建屋が残されています。現在は電気室として使われているこの建物はポンプ室として昭和10年に建てられました。
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現在の山口市の市域に於いての近代水道の始まりは旧小郡町が大正12年に開設した町営水道ですが、この時期は小郡町と山口市は別の自治体で、山口市の水道事情は井戸や河川水に頼る状態がその後も続いていました。
県都として発展し、人口が増大する中でやがて山口市も近代水道の必要が求められ、昭和9年に議会で承認された翌年の昭和10年に供用開始となります。
水道開設に際しては水源に市内を流れる河川水を利用する方式が採用され、この宮島に設置された取水施設で近くを流れる河川の伏流水を汲み上げて高台の配水池へ送水、浄化の後に市内中心部へ配水されました。
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鉄筋コンクリート陸屋根造地上1階地下1階。壁面全体にスクラッチタイルを貼ります。
凝った装飾表現は有りませんが、バランス良く並ぶ縦長アーチ窓が個性を際立出せています。
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東の壁面。この面には窓がありません。
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角を曲がって南面へ。中央の出入口がやや小さい以外は北面と同じ造りです。
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建物手前に取水井戸が置かれています。
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西面には2連の窓を配します。
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by sunshine-works | 2025-09-21 11:30 | 近代建築 山口県 | Trackback | Comments(0)


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