2025年 09月 07日
河村写真館
山口県山口市の近代建築その10

前回紹介した旧山口武徳殿から国道を東へ進み、交差点を南へ曲がります。程なく進んだ先に広がる八坂神社の境内南端の一角に、明治期に建てられた洋風建築が残されています。
この建物は山口市で最初の写真館として明治20年頃に建てられました。
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木造2階建て下見板張り寄棟造。正面二階に三連アーチを並べたベランダバルコニーを設け屋根上に塔屋を載せます。
山口市内でも初期に建てられた洋風建築で、地元の棟梁による擬洋風建築となりますが、コロニアル風の特徴が良く捉えられています。
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この写真館は元士族の小野為八が明治8年に開業したのが始まりで、明治20年に引き継いだ松原写真館の時代に現在の建物が建てられます。写真館はその後も称号を変えながら引き継がれて行きますが、その過程で増築が加えられ現在の姿となります。
昭和30年に最後の継承者となる河村写真館として平成22年まで営業を続けましたが、その後は空き家となり、令和6年に山口県に買い取られます。
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建物側面を眺めます。切妻屋根の張り出し部分は後年に増築された部分で、居住区画として使われていたようです。
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三連アーチのバルコニーが設置された北面。この建物は道路に面した南側では無く八坂神社に面したこの面が正面で、ここまで見てきた写真は建物の裏面となります。
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南西方向からの眺め。屋根上の塔屋は物見台として使われたそうです。
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南面の眺めがこちら。南西の三角破風のある区画も後に増築されたものです。
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by sunshine-works | 2025-09-07 11:30 | Trackback | Comments(0)


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