2025年 08月 31日
旧山口武徳殿
山口県山口市の近代建築その9

旧山口県庁舎旧山口県議会議事堂が建つ県政資料館から国道9号線を北東へ程なく、国道の南側の敷地に大きな屋根を葺いた近代和風建築が見えてきます。
現在は山口県警の体育館として使われているこの建物は、大日本武徳会の演武場として昭和5年に建てられました。
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大日本武徳会は武道全般の振興を図る目的で設立された組織で、京都に本部を置き、全国主要都市更には台湾や韓国の都市に演武場である武徳殿を建てて行きました。
各地に建てられた武徳殿の規模や外観は様々なものでしたが、殆どが大きな瓦屋根を葺いた和風の意匠に西洋技法を取り入れた和洋折衷様式のものでした。
この山口武徳殿も漆喰壁に大きな格子窓を並べ、切妻の大屋根や軒に廻らせた裳階等、寺院の本堂を思わせる建物ですが、コンクリート造の基礎を据え、吹き抜けを持つ内部の小屋組みも西洋式のものが使われています。
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建物東面の眺め。屋根の妻面に懸魚や鳥衾を飾り、漆喰壁に肘木が並ぶ本格的な和風の意匠です。
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四周に廻らせた格子のガラス窓。大きな窓は採光に優れ、夏場は開け放して通風を確保すれば、張り出した裳階が日差しを遮る効果と相まって室内温度を適度に和らげます。
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南面からの眺めがこちら。
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他の面の入口に比べて一回り入口幅が広く、上部に丸窓が添えられたこの面が正面だと思われます。
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角を曲がって西面から。
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国道に面した北側です。
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by sunshine-works | 2025-08-31 11:30 | 近代建築 山口県 | Trackback | Comments(0)


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