2025年 08月 10日
旧山口県立図書館
山口県山口市の近代建築その6

前回紹介した旧山口県庁舎から国道を渡って南へ進んで程なく、植栽に囲まれた敷地の一角に、かつて県立図書館として使われた建物が残されています。この建物は行啓記念山口県立山口図書館として昭和3年に建てられました。
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鉄筋コンクリート三階建て陸屋根造、外壁表面は人造石貼り。縦長窓や付柱で垂直ラインを強調したセセッション風の意匠で、各所に彫刻やモールディングのアクセントを添えます。
同時期に建てられた県庁舎や県議会議事堂が煉瓦造の古い造りだったのに対してこの図書館は鉄筋コンクリート造で建てられており、山口市内では先駆的な事例となりました。
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初代の山口県立図書館は明治36年にここから南東へ下がった現在の県立図書館の南側の場所に建てられましたが、木造平屋の閲覧室は規模が小さく、増築を繰り返すもその後の利用者の増加や蔵書の拡大によって手狭となり、新図書館への建て替えが求められます。これを後押ししたのが大正15年に行われた皇太子の山口行啓で、行啓記念施設として新図書館の建設が承認され、約1年の工期で竣工します。
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小さく張り出した庇に狭い間隔で並ぶ円柱。庇の正面側には精緻な彫刻が施されています。
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建物南側の壁面です。
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二代目にあたるこの山口県立図書館は昭和48年に三代目の図書館が完成した事でその役目を終えます。
建物はその後県庁の分庁舎として使われますが、現在はほぼ空家の状態となっています。


建物裏側には4階建ての書庫が繋がります。
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by sunshine-works | 2025-08-10 11:30 | 近代建築 山口県 | Trackback | Comments(0)


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