2025年 05月 18日
京都市役所本庁舎1
京都市中京区の近代建築その17

河原町御池交差点の南西角に立つ京都市役所本庁舎は昭和2年の竣工。武田五一の監修、京都市営繕課の設計によって建てられました。
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この建物は京都市の三代目庁舎として建てられたもので、第一期工事として昭和2年に旧庁舎の東側に建物東半分が竣工、次いで旧庁舎を取り壊した跡地に残りの西半分が建てられ、昭和6年に全体が完成します。
建物はネオバロック様式の鉄筋コンクリート造地下1階地上4階建て。東西に長く棟を伸ばし、左右両端がそれぞれ南北方向に延びる棟と繋がります。正面からの眺めは車寄せ玄関を中心としたシンメトリーで、手前に迫り出した玄関棟の上部に大きな塔屋を据えます。
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4階部分にバルコニーを設け、縦長楕円形状の窓間にギリシア風の付柱を添え、中央部の付柱は更に上へ延ばされてパラペットから突き出ます。後方に一段下がって据えられた塔屋の四方にはバルコニーの意匠と合わせた装飾が添えられ、その上に同形状の付柱を高く掲げます。
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正面入口の眺め。玄関周りを花崗岩で飾り鉄枠の大きな庇を突き出します。
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玄関の東側区画。
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玄関周りのクローズアップ。荒く仕上げた花崗岩の切石を積み上げ、入口周りには彫刻を刻みます。
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玄関の西側の区画。実はこの建物は正確にはシンメトリーでは無く、西側区画の方が縦長窓三連分長く作られています。又途中に通用口が設置されているのも東側に無い特徴です。


建物東側の張り出し部分。正面上部と同じバルコニーと付柱を飾ります。
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こちらが西側の張り出し部。
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同年に建てられた島津製作所旧本社と同じく、設計に際しては武田五一が監修し、意匠設計者は武田五一の弟子が勤めており、島津製作所旧本社同様に武田五一の作風が色濃く表されています。


この庁舎が接するもう一つの大通り、河原町通りに面した東側も景観上重要なポイントです。この面も正面側と合わせた意匠の玄関やバルコニーが設けられています。
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バルコニーや玄関は正面側のものの幅を縮小した造り。玄関が右手にずれているのは構造上の理由でしょうか。
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京都市役所は平成27年から令和7年にかけて改修工事が行われ、本庁舎の北側と西側に増築部分が建てられました。以下は新築棟の足元から眺めた北面の様子です。
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こちらは西面の眺めです。
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※次回は建物内部を廻ります。


by sunshine-works | 2025-05-18 11:30 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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