2025年 05月 11日
島津製作所旧本社
京都市中京区の近代建築その16

河原町御池交差点を北へ進んで京都市役所を越えた先、河原町通りが姉小路通りと交わる一角に、島津製作所が本社を置いていた建物が残されています。現在はレストランや結婚式場として使われているこの建物は、昭和2年に建てられました。
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河原町通りに西面して建つ鉄筋コンクリート陸屋根造4階建て。
明治8年に創業した島津製作所の二代目の本社として建てられました。
武田五一の監修の元、弟子にあたる荒川義夫が担当したこの建物は、凹凸を抑えた平面に縦長アーチの窓型を並べたセッセション風の意匠を基本に、アールデコ、古典様式等の建築様式が入り交ざる昭和初期の武田五一の作風が受け継がれています。
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建物中央に配された玄関ポーチ。花崗岩のアーチ型で囲い、両脇に二本ずつ付柱を飾ります。
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各部の窓はこの時代らしい縦長窓を並べますが、玄関両脇のスパンには横長窓を配し、南側にはさらに1スパン分の横長窓を並べます。
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三階の窓は縦長アーチとし、四階の境を銅蛇腹で区切ります。四階と屋上の境も軒蛇腹で仕切られ、張り出した軒の上の陸屋根南北に塔屋を置きます。
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南側の塔屋は上部に正方形の屋根が架けられており、物見塔(展望台)として使われていました。


河原町通りに面した正面入り口の他に、建物北側にも庇を張り出した入口を構えます。竣工当時の写真を見ると建物北側に別棟(工場か)が建てられており、連絡口として使われていたものと思われます。
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by sunshine-works | 2025-05-11 11:30 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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