2025年 04月 20日
旧第一銀行丸太町支店(京都中央信用金庫丸太町支店)
京都市中京区の近代建築その14

中京区の北東、丸太町通りと河原町通りが交わる一角に、昭和初期に建てられた銀行建物が現存し、今尚現役の店舗として使われています。この建物は第一銀行丸太町支店として昭和2年に建てられました。
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丸太町通りに北面して建つ、鉄筋コンクリート陸屋根造二階建て、壁面は煉瓦タイル貼り。縦長窓とその上の丸窓部分を合わせて繰形で際立たせ、5連の縦長アーチとして前面に並べます。
この時代に様々に試行された新しい銀行建築に通底する、直線や平面を基本としたシンプルな構成の中に古典様式の要素をアクセントに沿えた表現で、設計は第一銀行の技師として多くの本支店建物を手掛けた西村好時が担当しています。
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第一銀行は明治6年に設立された国立第一銀行がその前身で、吸収合併を重ねて規模を拡大し、国内外に多数の店舗を展開する大銀行となります。この支店が建てられた昭和初期は同行の拡張拡大の頂期で、地方の主要都市に店舗を廻らせ、大都市においては市内に複数の店舗を配置して全国を網羅していきました。
この丸太町支店も京都市の北東部を担当する新店舗として建てられたもので、京都市内に設置された第一銀行店舗としては築年が新しく、時代の推移を反映したモダンな意匠となっています。
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正面中央に構える入口。小さな庇や持ち送り部分は古典様式の要素を残しています。
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煉瓦タイルの壁面に縦長のアーチ型を並べる意匠は、前回紹介した旧京都中央電話局にも見られたもので、大正末から昭和初期のモダニズム建築への移行期に多く用いられていました。同じ西村好時が設計した第一銀行熊本支店(大正8年)にも壁面に縦長のアーチ型を並べたこのスタイルが採り入れられています。
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by sunshine-works | 2025-04-20 11:30 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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