2025年 04月 13日
旧京都中央電話局
京都市中京区の近代建築その13

烏丸三条交差点から烏丸通りを北方向、通りの右手に、大正期に建てられた電話局の建物が残されています。現在は商業施設として使われているこの建物は京都中央電話局として大正15年に建てられました。設計は多くの逓信建築を手掛けた吉田鉄郎が担当しています。
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この建物は、昭和3年に始まる電話交換の自動化に備えた近代的な電話局舎として建てられました。工事は二期に分けて行われ、一期工事が大正15年に竣工、二期工事部分が昭和6年に竣工しています。
構造は鉄筋コンクリート三階建て陸屋根造。煉瓦タイル貼りの壁面に方形の大きな窓を配置、アーチ窓とした三階窓と連ねて一段窪ませ、窓全体で大きなアーチ型を描きます。
全体的にはこのアーチ型が壁面に連続して並べられ、垂直ラインが際立った特徴的な意匠が表現されています。
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この北面にのみ設けられている張り出し部分とその下に設けられたアーチ屋根の回廊。回廊は建物を貫いて反対側に抜けています。
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北面の角を折れて烏丸通りに面した建物西面へ進みます。
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京都中央電話局はその後NTTの局舎として引き継がれた後、平成13年に商業施設としてリノベーションされます。
これに際して行われた改修工事では建物の東面の全てと南面の一部を取り壊して新造部分を繋げて北面と西面の壁面をそのまま残す工法を採用し、長い壁面が接する烏丸通り沿いの景観を損なう事無く近代的な施設へと再生されています。
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上下の窓の間の壁面部分を良く見ると、二種類のタイルの貼り方が交互に繰り返えされています。
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建物の南西角部分。南壁面は西側の一部が保存されています。

烏丸通りの西側から眺めた東壁面。美しい縦長アーチが心地よく並びます。
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by sunshine-works | 2025-04-13 13:30 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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