旧日本銀行京都支店

京都市中京区の近代建築その9

前回紹介した旧日本生命京都支店から西へ二筋、高倉通りと交わる一角に大きな赤煉瓦の建物が建っています。

三条通りの近代建築の中で最も大きく、一際華やかなこの建物は日本銀行京都支店として明治39年に建てられました。

煉瓦造二階建て、スレート葺きの屋根の中央にドーマ屋根、東西に塔屋を乗せます。

多くの日本銀行の建物を手掛けた辰野金吾が設計したこの建物は、赤煉瓦に白い花崗岩のアクセントを加える辰野式と呼ばれる様式の最初期のもので、このスタイルは同年に建てられた第一銀行京都支店や二年後の神戸支店、辰野式を代表する東京駅や中之島公会堂等に受け継がれていきます。
入口を囲うアーチ型の庇。アーチの中に白御影石を放射状に並べるこの手法も後の辰野式建築に多く使われています。
建物左右に乗せた銅板葺きの塔屋。これも、この後に次々と建てられる辰野式煉瓦建物に定番のアイテムとなります。
高倉通りに面した東面の眺めです。

建物裏手の眺め。別棟として金庫室として建てられた区画が残されています。

日本銀行京都支店が昭和40年に移転した後は平安博物館として昭和63年まで使われ、その後は北側に建てられた京都文化博物館の別館として保存されます。博物館別館と位置付けられていますが、建物自体が主な展示施設で、銀行時代の姿を留めた館内はイベント会場や店舗区画に充てられています。

こちらはカウンターの内側からの眺めです。