2025年 02月 23日
旧家邊徳時計店
京都市中京区の近代建築その7

前回紹介した旧大阪毎日新聞京都支社から三条通りを西方向、麩屋町通りを越えた先の南面に明治中期に建てられた煉瓦造の店舗建物が残されています。
三条通りに現存する洋風建築の中で最古となるこの建物は、家邊徳時計店として明治23年に建てられました。
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木骨煉瓦造二階建て和瓦葺の擬洋風建築。煉瓦張りの壁面の両脇に白御影石を飾り、一階軒にも白御影石のエンタブレチュア様の帯を設けて三方を囲みます。この一階部分にセットバックして重なる二階部分は一階同様に煉瓦壁と御影石の隅石を貼り、三つの縦長窓を並べます。
小さな建物ですが、当時の洋風建築の装飾意匠が随所に盛り込まれ、この上に二層の時計台を備えた竣工時の姿は、和風建築が並ぶ通りの中で一際目を惹く建物だったと思われます。
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入口上部に並ぶ三連アーチ。アーチの中にはガラスが填められ、鉄製の透かし彫りが飾られる凝った意匠です。
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入口扉の両脇を飾るショーウィンドウ。この建物が建てられた当時はこのような曲面ガラスは一般化していませんので、大正期以降に設置されたものと思われますが、建物と違和感なく調和しています。
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時計店としての用途からその後は幾つかの店舗として使われ、現在は衣料品店が入居しています。
当時の姿を良好に留める店内の様子を以下に紹介します(撮影について店舗の許可をいただきました)。
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二階部分の様子。壁や天井の設えが当時のまま残されています。
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一階の奥側、かつての金庫室だった区画が売り場として使われています。
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by sunshine-works | 2025-02-23 11:31 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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