2025年 02月 16日
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)
京都市中京区の近代建築その6

京の東西を繋ぐ幾多の通りの中で、東海道の終点に繋がる三条通りは最も往来が激しく、古くから商業が栄えた通りでした。
この三条通りの中央部は明治になると金融街としての性格が加わり、更なる発展を遂げていきます。
三条通りが東で交わる寺町通りから西へ進んで烏丸通り辺りまでの600m程のこの界隈には、煉瓦や石造、後には鉄筋コンクリートで建てられた金融機関や事務所ビル、商業建築が立ち並び、京都随一の近代的な街並みが整えられて行きました。
現在でもこの道筋の両脇には明治から大正期、昭和初期にかけての各時代の様式で建てられた近代建築が数多く現存し、周囲の現代風のビルや木造の伝統家屋と調和して独特の景観を形成しています。
狭い範囲に様々な近代建築が並ぶ全国的にも珍しいこの三条通り沿いの建物を数回に亘って紹介して行きます。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00012620.jpg

三条通りと御幸町通りが交わる交差点の南に、昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート造の建物が残されています。現在はテナントビルとして使われているこの建物は、毎日新聞社の前身となった大阪毎日新聞社の京都支局として昭和3年に建てられました。設計は京都を中心に関西で多くの作品を残した武田五一が担当しています。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00022003.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00030162.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00035466.jpg

三条通りに面した正面ファサード。まず最初に上部の星形窓や同じく星を象ったバルコニーが目を惹きます。その他にも各窓に付けられた窓庇や折れ曲がった玄関庇、玄関庇を支える両脇の円柱、塔屋に添えられた張り出し等、アールデコによる大胆な意匠が表現されています。
因みに窓やバルコニーに用いられている星形は、大阪毎日新聞の社旗に象られている星型が基となっています。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00042398.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00051995.jpg

玄関周りを各方向から眺めます。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00083138.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00070981.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00074986.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00073849.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00100857.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00104644.jpg

大阪毎日新聞はその後現在の社名「毎日新聞」に名を改め、この建物は毎日新聞京都支局として平成10年まで使われます。同社の移転によって空家となったこのビルは老朽化によって取り壊しの話もありましたが、補修と補強を施してテナントビルに再生する事となり現在に至っています。

入口脇の階段から当時の面影を留める館内を廻って行きます。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00110598.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00190924.jpg

床に貼られたタイルや窓周り、階段手摺等建てられた当時の状態が良好に保たれています。


館内南側に設けられたもう一つの階段。こちら側も大きな改修も無く当時のままの姿を留めます。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00150555.jpg
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_00170978.jpg


再び外に出て御幸町通りに面した建物西面を眺めます。
旧大阪毎日新聞社京都支局ビル(1928ビル)_f0116479_10225900.jpg

御幸町通りに面して長く伸びる壁面。庇やコーニスで水平方向のラインが強調され、四角い大きな窓とアクセントの丸窓を配置します。

建物南側の入口。この入口から先程の階段に通じます。


by sunshine-works | 2025-02-16 12:14 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


<< 旧家邊徳時計店      旧生祥小学校/旧銅駝小学校 >>