2025年 01月 26日
旧立誠小学校
京都市中京区の近代建築その3

京都随一の歓楽街先斗町の程近く、木屋町通りに面した一角に小学校跡地を再生した複合商業施設が建てられています。
この場所は下京六番組小学校を始まりとする旧立誠小学校の校地を再開発したもので、施設の中核には昭和2年に建てられた旧校舎が使われています。
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旧立誠小学校の前身は、明治2年に開校した下京第六番組小学校で、この場所からやや北にあたる大国町に校舎を構えました。明治5年に京都市立の小学校に改編されて下京第六区小学校となり、その後も数度の改称を経て最終的に京都市立立誠小学校として平成5年まで存続します。
現存する校舎は、大正13年の大火で校舎が損傷を受けた事を契機に現在の場所に仮校舎として移転した後の昭和2年に建てられたもので、京都市内に建てられた鉄筋コンクリート造の小学校校舎としては最初期の建築例の一つとなります。
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木屋町通りに面して入口を構え、通りの西を流れる高瀬川に架けられた石橋を渡って敷地に入ります。
建物は南棟、北棟と間を結ぶ玄関棟が一体となったコの字型配置。
各面に廻らせた縦長窓、水平ラインを強調するコーニス、壁面の要所を飾るレリーフ、入口周りと最上部の窓に配したアーチ型、庇や軒に添えられた持ち送り等々、古典様式とモダニズム様式双方の表現が巧みに盛り込まれています。
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かつての校庭から眺めた南棟の南面。縦長窓を並べ、最上部と出入口にアーチを配した玄関側と同様の意匠。アーチ窓の下には三枚のレリーフを飾ります。
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校舎から校庭への出入口。こちらも正面玄関に倣ったアーチ形で、張り出す庇も良く似た意匠となっています。
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蛸薬師通りに面した建物北側の眺め。南面とは大きく印象が異なります。
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立誠小学校は平成5年に閉校となった後、イベントスペースや映画館として使われ、令和2年にホテルを核とする複合施設として再生されます。旧校舎の一階部分は商業テナント区画、上階は敷地西側に建てられた新棟と繋がるホテル区画として使われています。
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by sunshine-works | 2025-01-26 11:34 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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