2024年 10月 27日
大渡隧道
高知県仁淀川町の近代建築

高知県の中西部、仁淀川町の東西を貫く国道の横手に昭和初期に開削された隧道のポータルが見えて来ます。
アールデコ風の大きな付柱が異彩を放つこの大渡隧道は昭和7年に竣工しました。
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国道から枝分かれした旧道が貫く短い隧道。丘陵の際の東西を33メートルの長さで結びます。
構造は抗口、内壁共にコンクリート造、幅員、高さ共に5メートル程で当時の地方隧道としては大きめの内寸。
このトンネルの特徴はなにより両面に施された荘厳な装飾で、入口両脇に張り出した巨大な付柱にまず目を奪われます。
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トンネル脇の坂を上った先に、コンクリート製の構造物が残されています。
これはかつて国道の南を流れる面河川沿いに設置されていた水力発電所に繋がれた水圧鉄管を支えていた架台の跡で、トンネル上部の棚地には三本の水圧鉄管と貯水池が設置されていました。
発電所はその後の大渡ダムの造成によって廃止され、トンネルの上に設置されていた諸施設も取り除かれています。
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下から眺めたトンネル上部の架台跡。
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かつて発電所があった辺り。現在は変電施設が置かれています。
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東側の抗口から反対側に進みます。
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この大渡隧道の入口に添えられた巨大な付柱は単なる装飾要素だけでなく、上部に設置された水圧鉄管や貯水槽の重量を支える目的も兼ねていたようです。全体に施されたアールデコ様式の装飾も無骨なコンクリート柱の存在感を逆手に使って城門風に仕上げたものと思われます。
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現在は国道の脇道となっていますが、元々はこのトンネルを通る道が本道で、抜けた先は小さな集落となっています。
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by sunshine-works | 2024-10-27 11:30 | 近代建築 高知県 | Trackback | Comments(0)


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