2024年 09月 15日
宿毛橋
高知県宿毛市の近代建築

宿毛市の中心市街地の南方、松田川の広い川幅を一本の古いコンクリート橋が渡ります。
ここに架けられた宿毛橋は昭和6年に竣工しました。
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城下町から始まった宿毛の町は、その後は港町として発展し、高知南西部の中心地となります。
この宿毛の地勢は、北と東に山が迫り、西に海、南に松田川が面する交通不便な地で、海路の他は峠を越えて西の宇和島や東の中村を繋ぐ街道があるものの、南方面を結ぶ交通路は川を舟で渡り山道を抜ける険しい小路に頼っていました。
明治後期、宿毛町は周辺町村と合同で街道整備事業を立ち上げましたが、その中には宿毛町から南方を結ぶ街道の改修も盛り込まれました。この過程で架けられたのが松田川を渡る橋で、初代の宿毛橋が木橋として明治末期に開通します。
初代宿毛橋は完成後僅か10年程で洪水によって流されてしまいますが、昭和6年に近代橋梁として架け直されたのが現存する二代目の宿毛橋となります。
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橋長228メートル、H型の橋脚の上をコンクリート製のガーダー桁が長々と渡って行きます。
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当初の欄干部分はアーチを象ったコンクリート製のものでしたが、老朽化の為近年に鉄柵に交換されています。又各橋脚には鉄製の補強枠が加えられています。
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228メートルと長い橋ですが、川筋を渡る箇所は南岸の4径間だけで、大半は北岸の広い河原を渡っています。
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こちらは北詰めの遠景。遊水地や畑として使われている河原の上を桁が渡って行きます。
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南詰から渡って暫く進んだ先に、一部幅を広めた箇所が設けられています。
この宿毛橋は当初二車線の橋幅で計画されていましたが、予算の関係で一車線となった為、橋上での離合を行う地点として付加されたものです。
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当時の欄干は撤去されましたが、背の高い塔状の中柱が当時のままで残されています。


by sunshine-works | 2024-09-15 11:30 | 近代建築 高知県 | Trackback | Comments(0)


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