2024年 03月 10日
旧開智小学校
京都市下京区の近代建築その12

前回紹介した旧成徳中学校が面する高辻通りを東へ進みます。
烏丸通りを渡り、佛光寺の門前を越えて程なく進んだ一角に、昭和初期に建てられた旧小学校校舎が残されています。
現在は学校歴史博物館として使われているこの建物は開智尋常小学校の校舎として建てられました。
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開智小学校もこれまで紹介した成徳小学校淳風小学校と同じく明治2年に設置された番組小学校の一つで、下京第11番小学校として開かれました。現存する校舎は昭和13年に建てられた教室棟(本館)と昭和11年に建てられた講堂、昭和31年に建てられた北館からなり、本館と講堂部分が博物館施設として公開されています。
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戦前築の二つの棟。左が講堂、右側が本館。玄関右側の張り出しは博物館改修時に付けられたエレベータ施設です。
一繋がりとなっている講堂と教室棟は統一された意匠で、横長窓と窓台で水平ラインを強調します。
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戦後に建てられた北館部分も本館と意匠を合わせて統一感を保っています。
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玄関部分には和風の庇を張り出します。この玄関庇は当初からのものではなく、かつて成徳小学校の玄関車寄せとして設置され、その後寺院の門として使用されていたもので、博物館開設後の平成19年にこの地へ再移築されました。
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開智小学校は平成4年に洛央小学校に統合されて123年の歴史を終えます。その後改修工事を経て平成10年から京都市の小学校教育に関する資料の展示施設として使われています。
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階段床板は木貼りではなくタイルを敷き詰め、腰壁や手摺にも石を使う贅を凝らした造りです。
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階段を上った先の扉は講堂の入口。講堂は本館に隣接する二階建てで、1階部分に室内運動場、2階に講堂が置かれていました。
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館内は各種展示室が並び、かつての教室を再現した区画も設けられています。
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敷地の東側には和風の正門を構え、左右に石塀を廻らせます。正門は明治34年、石塀は大正7年に設置されたものです。
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校舎裏側、西面の眺めです。
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by sunshine-works | 2024-03-10 11:26 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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