2023年 10月 22日
三瓶隧道/高研隧道
南予の隧道1

四国山地の西端に位置する南予地方は全般に山がちな地勢で、小さな盆地に点在する村々は細々とした山道で繋げられていました。しかし、その多くは急峻で険しい道筋故に互いの交流は少なく、それぞれの地域毎の閉じた経済圏と文化圏を形成していました。
この状況は、明治に入り商工業が発達して交易が活発になる中で徐々に変化を遂げ、町村を結び主要都市へと通じる街道の整備が進められます。
明治中期から各地で始められたこの新たな交易路を開く過程で活用されたのが西洋から導入された近代土木技術で、中でもそれまで最も難所だった峠越えの箇所には多くの隧道が築かれて行きました。
今回と次回に亘り、南予各地に残るこれら明治大正期から昭和初期に掛けて掘られた隧道の幾つかを紹介して行きます。
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西予市の西部、卯之町方面から宇和海臨海部を結ぶ旧道の途中に設置された三瓶隧道。大正6年竣工。長さ316メートル、高さと幅は約4メートルで、花崗岩切石のポータルを両面に構え、内壁には煉瓦を積みます。完成時は道路トンネルとして南予地区最長の長さとなりました。
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宇和海に面した港町三瓶は背後に山地が迫り、地域の拠点都市卯之町へは大きな迂回を余儀なくされていました。
この区間を最短距離で結ぶ為に掘削されたのがこの三瓶隧道で、大正5年に起工、翌年に竣工します。
隧道の両側共に隣町の宇和町に位置していますが、起工者となり県負担分を除く工費の六割を負担した三瓶村の名がその名に冠されました。
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この三瓶隧道は昭和63年に新トンネルが竣工した後は市道となって供用が続けられます。現役故に中央部はオレンジ色の電燈が灯されています。
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内壁は下部をイギリス積み、上部が長手積みの組み合わせ。
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反対側の出口。竣工した「大正六年十月」の文字が刻まれています。
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西予市の東部、高知県との境の峠を通る旧道に残る高研隧道は昭和3年の竣工。三瓶隧道と同じく切石を積んだポータルを構えます。
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愛媛県南予から高知を繋ぐ梼原街道に設置された高研隧道の長さは約240メートル。こちらも当時の地方隧道としては規模の大きなものです。
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木々に覆われていて見え難くなっていますが、三瓶隧道と良く似た壁柱を添えた造りとなっています。



by sunshine-works | 2023-10-22 11:38 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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