2023年 10月 01日
旧柿原水源地水道施設
愛媛県宇和島市の近代建築その2

宇和島市中心部から土佐街道を西へ。程なく進んだ先を南に折れ、川に沿って下って行きます。その先には木々に囲まれた緑豊かな公園が開かれていますが、元々この一帯は宇和島市の近代水道開設時に水源地として開発された場所でした。
現在水源施設は他所に移り、敷地は公園として整備されていますが、この広い敷地の中には、水道開設時とその後の増設時に設置にされた施設が残されています。
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明治20年の横浜市に始まる日本の近代水道は、その後全国の大都市や港湾都市を中心に設置され、大正期には地方の中小都市でも開設が進んで行きます。
この中、愛媛県での近代水道事業の創設の動きは他県に比べてやや遅く、漸く大正15年にこの宇和島市で県内最初、四国では高松市に次ぐ二番目となる近代水道が開設されます。
臨海部に市街地が造られた宇和島は水に恵まれず、県都松山や人口規模で上回る今治に先駆けての開設となりました。
水源に選ばれたのが須賀川支流のこの地で、一帯には取水施設や濾過池、配水池が設置され、約4キロ先の宇和島市街地へ送水が行われます。
この時に設置された施設はその後開発されたダム工事によって失われますが、当時のものとして唯一、8基の急速濾過池が残されています。
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公園敷地の中ほどにある旧急速濾過池。アメリカで開発された当時最新のJL式急速濾過池と呼ばれるもので、円筒形のコンクリート製タンクに砂利や砂を幾層も敷き詰め、薬品処理を経た原水を浄化させる施設です。当時は微生物分解を利用した暖速濾過法が主流でしたが、十分な敷地面積が得られなかった為に土地効率の良いこの濾過法が選ばれました。
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公園敷地の奥手、土手を昇った先に見えて来るコンクリート堰堤。市域の拡張によって増大する給水人口に応じる為に増設された二つの貯水池の一つ。戦時中の昭和18年に起工されましたが、その後の戦局悪化によって工事は中断され、供用が開始されたのは昭和26年となりました。
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堰堤高15メートル程のコンクリート式重力ダム。狭い間隔で並ぶバットレスが支えます。
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堰堤上部と内側の眺め。貯水池は昭和50年にその役目を終えていますが、取り壊される事なく残され、往時の姿を留めています。
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by sunshine-works | 2023-10-01 11:06 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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