2023年 09月 17日
旧宇和町高等尋常小学校校舎
愛媛県西予市の近代建築その2

前回紹介した開明学校の北方、町を見下ろす小高い丘の上に、古い木造建物が残されています。
これらはこの高台の麓にある宇和町小学校の校舎として使われていたもので、大正期から昭和初期にかけて建てられた三棟が移築保存されています。
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明治5年に開校した開明学校はその後卯之町尋常小学校、宇和町尋常小学校、宇和町高等尋常小学校と名を変え、大正4年に宇和町坪ヶ谷に移転します。新たな校地には順次校舎や講堂が建てられ規模を拡大していきますが、15年程後の昭和3年に現在の宇和町小学校となる場所(現在これらの建物が建っている高台の下)に三度目の移転を行います。
今回紹介する校舎は、坪ヶ谷校舎時代の大正期に建てられた二棟と現在の宇和町小学校校地移転時の昭和3年に建てられた一棟で、それぞれ昭和60年代まで現役で使われ、その後に当地に移築保存されたものとなります。
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南側に建つ旧第一校舎。三度目の校地に移った昭和3年に建てられました。木造平屋半切妻造、長い内廊下に沿って教室が連なる構造で、100メートルを超える廊下の長さは木造校舎として日本一とされています。
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入口から建物端まで貫く長大な土間と廊下。長い廊下を持つ校舎は数多くありますが、土間を伴って連なる長廊下は珍しい事例です。
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内部の一部は地元宇和米や米作りに関する資料を展示する博物館として使われています。
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校舎南面の眺めです。
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こちらは校舎裏側の眺め。
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旧第一校舎の北側、一段高い場所には坪ヶ谷移転時に建てられた二棟の校舎が並びます。手前側の旧講堂は大正4年に建てられました。
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左が第一校舎、一段上がった右側に講堂が並びます。
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内部の様子。端にアールを付けた折上げ式の天井が広い空間を覆います。
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旧講堂の奥側には大正11年に建てられた旧第二校舎が並びます。



坪ヶ谷校舎時代に建てられたこの校舎は、昭和3年に新校地へ移転した後の昭和10年に旧校地から移築され第二校舎として再び使用されます。第一校舎と第二校舎の築年の新旧が逆になっているのはこの事由に依ります。ちなみに先ほどの講堂も旧校地から昭和4年に移築されましたが、講堂と第二校舎の移築年度の隔たりは、学校行事に必須となる講堂が優先された為で、第二校舎は生徒数が増えたその後の校舎拡充として移されたものと思われます。
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妻面の意匠は異なりますが、大きなガラス窓を連ねる側面の外観は第一校舎とほぼ類似、内部も長い内廊下にそって教室が並ぶ造りです。


by sunshine-works | 2023-09-17 11:48 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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