2023年 07月 30日
旧白石挂灯立標吏員退息所(阿多田島灯台資料館)
広島県大竹市の近代建築

宮島の南方、安芸灘に浮かぶ全周11キロメートルの小島の南東に、明治期に建てられた洋風建築物が残されています。
現在は灯台資料館として使われているこの建物は、この島の沖合に設置された灯標の保守管理にあたる施設として建てられました。明治36年築。
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連絡船の港から遊歩道を30分程辿った先、断崖の先端に周囲を塀に囲まれた建物群が見えてきます。
広島湾の入り口となるこの沖は水深が浅く、暗礁が点在する危険な海域であった為、明治35年に沖合に灯標(白石挂灯立標)が設置されます。
この灯標を保守する施設として翌年に設けられたのがこの吏員退息所施設で、崖の上に建つ宿舎と倉庫がそれぞれ一棟、崖を下った海岸に建つ油庫一棟から構成されていました。
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宿舎として使われた本館建物。煉瓦積み寄棟造の平屋建て。外壁基礎は花崗岩積み、上部はレンガ壁にモルタル塗布仕上げ。逓信省による設計で、当時の吏員退息所に共通する洋風意匠の外観となっています。
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常に風雨や波浪にさらされる過酷な環境に建てられる建物なので頑丈な煉瓦造とし、窓が少ない構造となっています。冬場はまだしも、気温湿度が高い夏場の居住性は相当に厳しいものだったと思われます。
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中央に設けられた入り口扉。上部にファンライトを飾ります。
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側面の眺めです。
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隣接して建てられた倉庫棟。宿舎と共通する意匠と構造が用いられています。
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敷地の外側からの眺め。レンガ壁がぐるりと敷地を囲みます。
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石段を下って海岸へ。波打ち際に小さな煉瓦造の倉庫が建てられています。
当時の灯台や灯標は石油ランプを光源としており、沖合の灯標へこの倉庫から船で石油を運んで補給していました。
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by sunshine-works | 2023-07-30 12:06 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)


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