2023年 07月 09日
出合橋
広島県安芸太田町の近代建築その2

安芸太田町の中央部、山あいの谷間に白く塗られたコンクリートアーチ橋が架かります。
美しい曲線を描くこの橋は昭和10年に架けられました。
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橋長52メートルの鉄筋コンクリート造ゲルバー式タイドアーチ。34メートルの中央桁の前後に9.2メートルの側桁を繋ぎます。
太田川と支流の柴木川が交わるこの場所には明治期に木橋が渡されていましたが昭和8年に強風により破損、これに代わる近代橋梁として架け替えられたのが現在の出会橋となります。
山間部の小さな集落に架けられた橋ですが、名勝三段峡へ向かう道路が渡るこの橋は県の観光振興策の補助を得て当時珍しいコンクリート造の優雅なアーチ橋として完成しました。
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二つの河川の合流地点近くに架かるこの橋は、桁下の高さを確保できる下路式を採用しています。この橋の完成1年前の昭和9年に中国地方に大きな被害をもたらした室戸台風では多くの橋梁が流下物により失われていますが、出合橋では設計時点で対策が取り入れられていました。
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美しいアーチを眺めながら橋上を渡ります。
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橋の南詰からの眺めです。
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昭和初期に実用化された下路式コンクリートアーチ橋ですが、広島県内の現存例は数少なく、戦前に架けられたものとしては唯一のものと思われます。


by sunshine-works | 2023-07-09 12:04 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(2)
Commented by getteng at 2023-07-09 12:11
sunshine-worksさん
こういう橋梁大好きです!
Commented by sunshine-works at 2023-07-16 11:39
> gettengさん
コメントありがとうございます。この類の橋は昭和初期から中期にかけて各地に架けられましたが、主流となる事なく廃れてしまいました。独特の優雅な姿は今見ても味わい深いものがありますね。


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