2023年 06月 25日
旧広島電燈亀山水力発電所
広島県広島市の近代建築その21

広島駅から北の郊外を結ぶ可部線の終点、あき亀山駅から太田川に沿って上流方向へ進みます。蛇行する川筋と並走する県道沿いの一角に、大きな煉瓦建ての構造物が見えてきます。この建物は現在の中国電力の前身となった広島電燈株式会社の水力発電所として明治45年に建てられました。
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総煉瓦平屋建て、イギリス積みの煉瓦壁に瓦葺の寄棟屋根を載せ、壁面にアーチ窓を配します。当時の煉瓦建物の一般的な造りですが、窓周りと壁面中程と足元の水平方向に白い切石のラインを刻んでアクセントを添えています。
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広島電燈は明治26年に設立された中国地方初の電力会社で、広島市内に火力発電所を設置して明治27年に送電を開始します。
当初は市内中心部の一部を配電範囲としていましたが、日清、日露戦争を経て急速に発展する市域の電力需要を満たす為に新たな発電所の開発を進めます。 
この亀山発電所は同社の電力増強を図る目的で設置されたもので、それまでの広島市大手町の火力発電所の約2倍の発電能力を有する同社の主力発電所となりました。
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この発電所が建てられた明治末期から大正初期は日本の電力事業の拡大期で、一般家庭の電燈普及が急速に高まり、工場の動力も電動機が主流となっていった時代にあたります。ちょうどこの頃に実現化された遠距離高圧送電技術によって発電所の形態も変化し、それまで市中の小規模火力発電所に頼っていた電力各社は、大きな出力を得られる遠方の水力発電所の開発を進めて行きました。
このような時代背景の下で広島電燈初の水力発電所となる亀山発電所は竣工し、最大出力2,100キロワットの発電能力は当時中国地方で最大級の発電所となりました。
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当時の状態を留めるアーチ窓。広島市に残る総煉瓦造の建物としては現存最古のものと思われます。
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亀山水力発電所は竣工以来60年に渡って電力の供給を続けますが、昭和47年の水害で被災し、翌年に廃止されます。
現在は大田川漁業協同組合の事務所として使われていますが、一部は資料館として公開されており、当時使われていた発電タービンや木製トラスの小屋組を見る事が出来ます。
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by sunshine-works | 2023-06-25 11:24 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)


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