2023年 06月 11日
牛田浄水場
広島県広島市の近代建築その19

広島市の中心部から山陽本線を越えて北へ。国道を程なく進んだ太田川の畔に広島市牛田浄水場が置かれています。
現在も稼働中のこの浄水場の敷地の中には、広島市の近代水道開設時から昭和初期にかけて建てられた建物や施設が複数残されています。
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広島市の近代水道の歴史は、日清戦争を契機に陸軍の拠点となった広島の市内各所に置かれた司令部や兵営、兵站施設、さらには宇品の軍用埠頭へ良質で安定した用水を供給する事を目的に始まりました。但し、鎮守府や海軍工廠が設置した他都市の軍用水道と異なり、広島の水道事業は軍用水道の性格を持ちながら当初から一般市街地にも給水が行われ、管理も市が行っていた事が特徴でした。
工事に際しては日本の近代水道の父とされるW.K.バートン(バルトン)の原案を元に明治28年に着工、三年後の明治31年に完成しました。
施設の概要は、この浄水場の西方の太田川岸に設けた取水門から組み上げた源水を沈殿池と緩速濾過池で処理した後、一段高い位置に設置した配水池に蓄えて市内各所へ送水するもので、開設時の給水人口は軍民合わせて約12万人の規模でした。
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敷地の南側、隣接するスポーツセンターとの境に残る旧濾過調整池と上屋。濾過池は広島市水道の開設時に設置されたもので石積みの護岸、上屋は大正13年の築。上屋は煉瓦造り、御影石の切石をアクセントに飾ります。
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5基設置された緩速濾過池それぞれにこのような上屋が設置されていました。
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岸側に小さな入り口があります。
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濾過池の脇を抜けて敷地の東へ。現在は水道資料館別館として使われている旧量水室は昭和10年の築。
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昭和10年築と、この浄水場の保存建物の中では築年の新しい建物です。時代の推移を反映して当時流行の表現主義的な要素が取り込まれています。
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建物の前には、かつて猿候橋 の脇を渡っていた水道管が展示されています。
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水道資料館として公開されている旧送水ポンプ室。大正13年に建てられました。
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煉瓦造にも見えますが、鉄筋コンクリート造煉瓦貼り。切石でアクセントを添え、煉瓦建物を模した意匠としています。
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by sunshine-works | 2023-06-11 11:35 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(2)
Commented by getteng at 2023-06-11 12:33
sunsine-worksさん
何処かで見たことがあると思いながら、そうだ牛田だったと。。。
老生、4~5回は行ってますね。
帝国陸軍のお陰で水道敷設は早かったかと。。。
Commented by sunshine-works at 2023-06-19 11:05
> gettengさん
コメントありがとうございます。現在は使用を終えた建物ですが、きちんと維持管理されているのが素晴らしいですね。


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