2022年 10月 23日
佐田岬半島の砲台跡
愛媛県伊方町の近代建築その1

四国の西端に突き出る佐田岬半島は、約40キロに及ぶ長さに対して最大幅は6.4キロ程で、日本一細長い半島として知られます。
瀬戸内海と太平洋を仕切るこの佐田岬半島は、明治期以降に防衛拠点として着目され、半島の要所に軍事施設が設置されていきました。
今回はこれらの中から砲台跡として現存する遺構を紹介します。
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半島の先端近く、藪の中に半ば埋もれた状態で4基の砲座が現存します。ここは昭和2年に完成した佐田岬第二砲台の遺構で、円形の砲座の他にコンクリートの砲側庫が確認できます。
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佐田岬砲台は瀬戸内海西部を防備する豊予要塞を構成する砲台の一つで、大正末期に建設が始まり昭和初期に完成しました。この第二砲台には大正7年に開発された最新の30センチ短榴弾砲4門が設置され、それまでの要塞砲の主力だった24センチ榴弾砲に比べて火力は強化されていました。但し、この第二砲台も他の砲台同様に備砲は使われる事無く撤去され、大陸へと送られています。
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砲座の間に設置された半地下式の砲側庫。他の沿岸砲台に比べて設置年が後期となる佐田岬砲台では構造材にコンクリートが使われています。
この砲台の特長は、コンクリートに塗られた迷彩模様が鮮やかな色彩で保たれていることで、おそらく戦時中に施されたものと思われます。昭和17年まで現役だった砲台ならではの珍しいものです。
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佐田岬第二砲台から浜へ下った位置には、砲台建設時に資材を揚げる為に設置された桟橋が残されています。砲台の工事が始まる大正末期に設置されました。
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構造はコンクリートの支柱の上に鉄筋コンクリートの桁を渡した簡易な形式。途中に開けられた四角い穴は波浪を逃がす為のものです。
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佐田岬第二砲台から岬の先端へ進みます。佐田岬灯台の麓には第二砲台と同時期に設置された第一砲台の跡が残されています。
この第一砲台では砲が据えられた砲座跡は失われていますが、兵舎跡と思われる施設や照空燈(サーチライト)の格納庫の現存が確認できます。
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崖を刳り抜いてコンクリートで固めた格納施設跡。照空燈の光源となる炭素棒を収める為のものです。
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こちらは照空燈本体を収める壕。移動式の照空燈を格納しました。
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第一砲台跡から灯台の脇を抜け、遊歩道で隣の御籠島へ渡ります。この島の岩山には戦時中に設置された砲台が残されています。
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戦局が押し迫った昭和20年、連合国による本土上陸が現実問題として危惧される中で、佐田岬は重要な拠点として再整備されます。半島突端に位置するこの場所には洞窟式の砲台が設置され、12センチ榴弾砲が配備されました。
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岩山に開けられた洞窟は2箇所、内部はトンネルが掘られ、弾薬庫や待避所へ繋げられていました。
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洞窟の先端には当時据えられていた12センチ榴弾砲のレプリカが置かれています。これは据置型の要塞砲ではなく一般部隊で使われる牽引式の砲で開発年度も明治末期と古く、大型艦に対しては殆ど無力と思われるものでした。
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この洞窟式砲台は、隣の佐田岬灯台の下にも同じ規模のものが設置され、こちらも現存しています。
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by sunshine-works | 2022-10-23 11:17 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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