2022年 06月 12日
旧広島逓信診療所
広島県広島市の近代建築その14

広島市の中心部から北東方向、広島電鉄白島線の終点から程近くに、昭和初期に建てられた病棟が保存されています。
この建物は広島逓信診療所として昭和10年に建てられました。設計は逓信省営繕課の山田守が担当しています。
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逓信診療所は逓信省(電気通信や郵便を管轄する省で、日本郵便やNTTの前身)の職員と家族の為の医療機関で、全国の道府県に設置されました。この建物は大正11年に開設された広島逓信診療所が現在地に移転新築された際のもので、鉄筋2階建て(一部3階建て)地下1階、延床面積487坪、12病室30床と小規模ながら、最新の機器を備えた近代病棟としての概要を備えていました。
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建物南面の眺め。1階の診療室、2階の病室共に正方形の大きな窓を並べます。現代の建築に通じる無装飾で平面により構成された外観は、機能性と合理性を極めた、いわゆるインターナショナルスタイルに拠るもので、設計者の山田守が所属した逓信省営繕課は日本に於けるこの分野の先駆的な存在となっていました。
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建物南東の角にはL型に大きな窓を廻らせます。これは、この場所に設置した手術室の採光に配慮した為のもので、この建物自体も最大限に自然光を取り込む事を第一に設計されています。
現在は失われていますが、屋上の東半分には日光浴用にガラス張りのサンルームも設置されていました。
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こちらは建物西端の眺め。
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北側から建物裏側を眺めます。当初はここから北側に突き出した玄関棟が存在し、T字型に繋がっていましたが、戦後の改修で撤去されています。
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昭和20年8月6日の原子爆弾投下の際には、内部を激しく損傷したものの建物は倒壊を免れ、市内中心部に残された数少ない医療機関として救護にあたりました。その後は修復工事を経て広島逓信病院外来棟として平成6年まで使われます。現在は館内の一部が被爆資料室として公開されており、復元されたタイル貼りの手術室や当時の資料を見学する事ができます。
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by sunshine-works | 2022-06-12 11:18 | 近代建築 広島県 | Trackback | Comments(0)


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