2021年 10月 24日
和中庵洋館(旧藤井彦四郎邸)
京都府左京区の近代建築その37

左京区岡崎地区から北東、永観堂の北端から始まる哲学の道の途中を折れて東へ進みます。程なく進んだ鹿ヶ谷の山裾に、昭和初期に建てられた洋館が残されています。
現在はノートルダム女子学院の施設となっているこの建物は、昭和3年に建てられました。
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この建物は、滋賀県出身の実業家で共同毛織の創業者となった藤井彦四郎の邸宅として建てられました(因みに以前紹介した藤井斉成会有鄰館を建てた藤井善助は彦四郎の父親にあたります)。
背後の山々と一体となった庭園が囲む広大な敷地に建つ赤瓦と縦長アーチ窓が特徴的な木造2階建て。当時流行したスパニッシュ様式を基調とした意匠です。
昭和3年に完成し和中庵と名付けられたこの邸宅は、季節の移ろいを写す庭の木々や京都市街を見晴らす美しい眺望と相まって、京都財界の社交の場として華やかな一時代を送りました。

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昭和3年に落成したこの和中庵ですが、藤井家の邸宅として使われた期間は昭和23年までの20年間と短いものでした。その後は長くノートルダム修道女会の修道院として使われ、平成19年に系列のノートルダム女子学院に移管されました。その後、補修と修道院当時に改装された箇所の復元工事が行われ、現在は同学院の教育施設として使われています。
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藤井彦四郎邸として建てられた和中庵は、この洋館の他に和館の主館と裏手の奥座敷(客殿)、茶室や土蔵等の付属棟からなっていました。和風建築の主館(その後取り壊されました)は寝食を主とする生活の場に使われ、この洋館は応接や社交の場に充てられたようです。

洋館の室内は寄木細工の床や大理石の暖炉、石貼りの階段室、天井のシャンデリアや窓の色ガラス、高級木材を使った建具等贅を凝らした造りとなっており、当時の上流階級が競って建てた洋風住宅の姿を良好に留めています。
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大理石が貼られた階段室。
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2階は大きな板張りの広間となっており、宴会場に使われたと思われます。
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建物裏手の眺め。隣接する奥座敷との間を渡り廊下が繋ぎます。
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by sunshine-works | 2021-10-24 11:13 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


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