2021年 01月 10日
旧歩兵第21連隊雨覆練兵場
島根県浜田市の近代建築その3

山陰本線浜田駅の西、市街地を抜けた住宅街の一角に県立浜田高校と浜田市立第一中学校が隣り合って並びます。この両校の敷地内には旧軍時代に建てられた煉瓦建物が現存し、今尚使われています。
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旧陸軍歩兵第21連隊は明治17年に広島市で創設された第五師団隷下の連隊で、明治31年に営地を浜田市に移します。この際に兵営が置かれたのが現在両校の校地となっている一帯で、兵舎や連隊本部、その他の付帯施設が昭和20年の終戦まで立ち並んでいました。
戦後、徐々にこれらの建物は取り壊され、学校や住宅の敷地と変わりますが、雨覆練兵場として使われていた煉瓦造の大きな建物2棟はそのまま残され、高校と中学それぞれの室内運動場に転用されます。それぞれの築年は中学校敷地内に残る建物が連隊が移転してきた明治31年、高校敷地内の建物は大正5年となっています。
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北側に位置する浜田市立第一中学校に残る旧雨覆練兵場。煉瓦造平屋建、切妻屋根にスレート瓦を葺き、屋根上には換気用の腰屋根を設けます。
雨覆練兵場とは言葉通り雨天時に軍事訓練を行う屋内施設で、広い空間を確保するために煉瓦壁と鉄骨小屋組を合わせた柱の無い構造となっています。
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等間隔に並ぶ窓。窓間には壁を支えるバットレスを構えます。
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両側の妻面は板張り仕上げ。中央に採光窓を配します。
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第一中学校と校庭を挟んで向かい合う県立浜田高校の一角に建つもう一つの旧雨覆練兵場。築年はこちらが18年ほど後になりますが、構造や意匠はそのまま踏襲されており、規模もほぼ同等のものとなっています。
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この県立浜田高校の入口近くには旧歩兵21連隊の碑が置かれており、傍らには当時の歩哨舎や門柱が残されています。
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by sunshine-works | 2021-01-10 11:20 | 近代建築 島根県 | Trackback | Comments(0)


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