2020年 06月 28日
東海道本線尼崎~住吉間の煉瓦・石積構造物1
兵庫の鉄道遺産

日本最初の公営鉄道が新橋~横浜間に敷かれた2年後の明治7年、日本で2番目の鉄道路線が大阪~神戸間に開業します。
阪神間の大動脈として今日も重要な役割を担うこの区間は、度重なる拡幅工事や高架化によって往時の路盤の殆どが更新されていますが、一部区間には開業当時から大正期にかけて築かれた構造物が今尚現役で使われている箇所が確認出来ます。
今回と次回に分けてこれら区間に残る明治、大正期の鉄道遺産を紹介します。
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昭和以前の古い鉄道施設が残るのは、現在も高架化されていない尼崎駅以西、神戸市東灘区の住吉駅までの区間。
大小の川を渡る橋梁や袈道橋、築堤をくぐる拱渠等に当時積まれた煉瓦や切石が残っています。これらの多くは当初単線で開通した同区間が複線、複々線と拡幅されていく中で設置されたものですが、最も古いものとしては明治7年の開業時に遡るものがあります。
日本で最初に敷かれた新橋~横浜の開業区間がその後の路線変更や高架化によって当初の構造物が失われている為、この区間に残るこれら施設は、現存最古の貴重な鉄道遺産となります。

尼崎駅と立花駅の中間で渡る庄下川橋梁。大正末期に架け替えられたこの橋には、明治期の煉瓦や石積みの構造物が現存します。
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開業当初は煉瓦積みの橋脚が桁を支えていたと思われますが、現存するこの橋脚は石積み橋脚。明治中期の複線工事に合わせて更新されたものと思われます。
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上流側には大正15年の複々線化で増設されたコンクリート橋脚が並びます。
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橋の西側に残る明治期の煉瓦壁。同様な煉瓦壁はこの先の区間にも多数現存します。
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尼崎駅の西で渡る小さな水路。ここにも明治期の煉瓦壁が残ります。
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一駅隣の立花駅の手前、踏み切り横にも同様な煉瓦壁が現存します。
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立花駅の西側は、その先に架けられた武庫川橋梁を渡る為に線路は築堤で高さを上げていきます。その築堤が小川を跨ぐ橋の一つ。手前のコンクリート壁の奥側に明治期の煉瓦壁が残っています。
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その西隣の大島川橋梁。ここにも明治期の煉瓦壁が現存します。
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尼崎市と西宮市の境を渡る武庫川橋梁。阪神間最長の鉄道橋梁となるこの橋は大正3年に架けなおされたもの。橋脚の一部には明治期の煉瓦構造物が使われています。詳細は以前に紹介したこちらを参照願います。
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武庫川橋梁を渡って西宮市側の最初の駅、甲子園口駅の手前で道路が築堤をくぐります。ここには明治7年開業時期に設置された煉瓦の3連トンネルが残されています。
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面壁部分に見える煉瓦は本物では無くシートを貼ったもの、トンネルの内壁もシートで覆われていますが、どちらもその下には明治7年の竣工時の煉瓦がそのまま残されています。

甲子園口駅の西には線路をくぐる小さな煉瓦トンネルが掘られています。まんぽと呼ばれるこの拱渠は、築堤に水路を通す目的で設置されたもので、その後に掘り下げて人が通れる仕様に変えられました。とは言え、高さは1メートル余りしかなく、腰を屈めて進んでいきます。
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甲子園口駅を越えて西へ。阪急今津線と交わる付近で小さな川を渡ります。この橋梁にも石積み擁壁が残されています。
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by sunshine-works | 2020-06-28 10:44 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(0)


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