2019年 09月 22日
石崎汽船旧本社
愛媛県松山市の近代建築その3

前回は三津浜の港湾地区に残る山谷運送部の建物を紹介しましたが、通りを挟んだ向い側には同時期に建てられた鉄筋コンクリート造の事務所ビルが残されています。この建物は石崎汽船の本社ビルとして大正13年に建てられました。
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鉄筋コンクリート2階建て(一部3階建て)、シンメトリーな建物前面に化粧タイルを貼り、三つのアーチ枠が縦長窓を囲みます。入口周りを切石で飾り、上部には小さなバルコニーを張り出すモダンな意匠。設計は関西を中心に多くの作品を残した木子七郎です。
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石崎汽船は松山藩の御用廻船問屋を前身とする長い歴史を持つ旅客海運会社で、拠点となる三津浜港に本社を置いていました。この建物は三津浜港の改修工事と同時期に建てられたもので、愛媛県では最初期となる鉄筋コンクリート造の近代オフィスビルは、海運会社として発展を遂げる同社の威信を掛けた風格のあるものとなりました。
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平成25年までの90年間に亘って本社ビルとして使われましたが、現在は空家となっています。築95年となる建物ですが、大きな改修もなく各部は当時の状態が良好に保たれています。
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壁面に貼られた二種類の化粧タイル。玄関を挟んだ中央の3列の窓周りには茶系のタイル、両脇と側面には白色のタイルが使われています。
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by sunshine-works | 2019-09-22 11:07 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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