2019年 01月 27日
京都市左京区の近代建築その1 北山通りを南へ折れ、静かな住宅街を進んで程なく、京都工芸繊維大学のキャンパスが広がります。 京都高等工芸学校は日本で三番目の官立工業学校として明治35年に現在の左京区吉田泉殿町に開設されます。 その後同校は手狭になった校地から新たな移転先として松ヶ崎村に新校舎を建て、昭和5年に移転開校します。 この際に建てられたのが現在3号館として使われている旧本館で、戦後に新制大学として設立された京都工芸繊維大学に引き継がれます。 この校舎を含め松ヶ崎に新設された一連の建物施設は当時同校の図案課教授を勤めていた本野精吾が設計を担当しています。 壁面にスクラッチタイルを貼った鉄筋コンクリート3階建て。 玄関を設けた東面の北側と南側に棟を繋げ、裏面の講堂にも通路を結んだ大きな校舎。上から見るとヨの字型の構造になっています。 中央の玄関部分を手前に張り出した東面。 当時の姿を良く保つエントランスホール。要所に石を用いた重厚な造りです。 日本のモダニズム建築創成期を代表する建築家として知られる本野精呉の作ですが、スクラッチタイルや凹凸を多用した壁面の仕様等は同時期の氏の作品と比べ先鋭的な意匠が抑えらたものとなっています。 当初案では壁面はコンクリート打ち放し、連続窓も各面に配置される予定でしたが最終的には現在の姿に落ち着きました。この辺は学校建築を所管する文部省の意向があったものと言われています。 このキャンパス内には旧本館と同時期に建てられた建物が他にも現存します。旧本館の南に建つこの小さな建物は倉庫として使われました。
by sunshine-works
| 2019-01-27 12:04
| 近代建築 京都府
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
全体 近代建築 愛媛県 近代建築 広島県 近代建築 島根県 近代建築 京都府 近代建築 徳島県 近代建築 鳥取県 近代建築 香川県 近代建築 岡山県 近代建築 兵庫県 近代建築 近代建築 山口県 近代建築 高知県 タグ
橋梁・隧道(193)
鉄道施設(190) 学校建築(149) 京都市(111) 住宅(101) 庁舎(94) 島根県(76) 広島県安芸地区(74) 愛媛県(73) 香川県(66) 神戸市中央区(66) 銀行(65) 岡山県備中地区(65) 事務所ビル(60) 兵庫県阪神地区(59) 岡山県備前地区(59) 兵庫県播磨地区(57) 京都府丹後・丹波地区(55) 軍事施設(53) 兵庫県丹波・但馬地区(53) 以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||