2019年 01月 27日
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)
京都市左京区の近代建築その1

北山通りを南へ折れ、静かな住宅街を進んで程なく、京都工芸繊維大学のキャンパスが広がります。
ここには前身の京都高等工芸学校時代に建てられた昭和初期の校舎が現存し、現用施設として使われています。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20191867.jpg

京都高等工芸学校は日本で三番目の官立工業学校として明治35年に現在の左京区吉田泉殿町に開設されます。
その後同校は手狭になった校地から新たな移転先として松ヶ崎村に新校舎を建て、昭和5年に移転開校します。
この際に建てられたのが現在3号館として使われている旧本館で、戦後に新制大学として設立された京都工芸繊維大学に引き継がれます。
この校舎を含め松ヶ崎に新設された一連の建物施設は当時同校の図案課教授を勤めていた本野精吾が設計を担当しています。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20291869.jpg

壁面にスクラッチタイルを貼った鉄筋コンクリート3階建て。
玄関を設けた東面の北側と南側に棟を繋げ、裏面の講堂にも通路を結んだ大きな校舎。上から見るとヨの字型の構造になっています。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20230733.jpg

中央の玄関部分を手前に張り出した東面。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20324746.jpg

京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20330543.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20332802.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20351832.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20353624.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20570699.jpg

幾何学的な装飾を施した玄関扉を抜けて館内へ。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20355145.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20360782.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20364628.jpg

当時の姿を良く保つエントランスホール。要所に石を用いた重厚な造りです。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20372369.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20374938.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20381311.jpg

階段窓から見える別棟の講堂。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20391960.jpg

東面の角から直角に南面が繋がります。日当たりの良いこの面に設けられた大きな連続窓は当時まだ珍しいものでした。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20430274.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20501308.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20461109.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20470112.jpg



日本のモダニズム建築創成期を代表する建築家として知られる本野精呉の作ですが、スクラッチタイルや凹凸を多用した壁面の仕様等は同時期の氏の作品と比べ先鋭的な意匠が抑えらたものとなっています。
当初案では壁面はコンクリート打ち放し、連続窓も各面に配置される予定でしたが最終的には現在の姿に落ち着きました。この辺は学校建築を所管する文部省の意向があったものと言われています。

玄関棟の裏側の眺め。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_20590356.jpg

このキャンパス内には旧本館と同時期に建てられた建物が他にも現存します。旧本館の南に建つこの小さな建物は倉庫として使われました。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21115642.jpg

東南角の正門脇に設けられた門衛所。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21205168.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21200757.jpg
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21193870.jpg

西南角にも古い木造モルタル造の門衛所が残されています。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21283896.jpg

現在の正門脇に建つ建物。大きく改装されていますが、かつて車庫として建てられたものです。
京都工芸繊維大学3号館(旧京都高等工芸学校本館)_f0116479_21330894.jpg


by sunshine-works | 2019-01-27 12:04 | 近代建築 京都府 | Trackback | Comments(0)


<< 旧鐘淵紡績京都工場ボイラー室(...      叡山ケーブルの駅舎 >>