2017年 06月 24日
旧別子鉱山鉄道星越駅舎
愛媛県新居浜市の近代建築その4

新居浜市の中心街の西方、丘陵地の裾の開けた一角に木造の旧駅舎が残されています。
この星越駅はかつて敷かれていた別子鉱山鉄道の途中駅として設置されたもので、昭和52年に廃線となった後も唯一この駅舎のみ残されています。
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当初牛車や人力に頼っていた別子銅山の運搬路ですが、増大する産出量に対応する為、明治中期に鉱山鉄道が設置されます。路線は山上の採鉱場から積み出す上部鉄道、中継基地の端出場から臨海部の惣開を結ぶ下部鉄道の2路線が敷かれ、上部鉄道の石ケ山丈と下部鉄道の端出場間は索道が渡されていました。この星越駅は下部鉄道の終点惣開から1駅目に置かれた駅舎で、大正14年に開業しています。
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木造平屋下見板貼り、正面左寄りに切妻屋根の破風と車寄せを設けます。当時の地方鉄道駅舎の一般的な造りですが、屋根に設けた三角窓や庇を飾るバージボード、妻面の通風口、軒下の持送り、縦長窓等々、細部にはモダンな意匠が用いられています。
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明治26年の下部鉄道開通時、鉄道は貨物専用で、沿岸部の惣開駅から山裾の山根駅間の平野部には駅が設置されていませんでした。この星越駅は近くに新設された選鉱場に合わせて大正14年に設置され、その後駅前に開発された住友鉱山社宅の玄関口として利用されました。

駅の裏手に見える新居浜選鉱場の跡。施設は取り壊され、土台のみが残されています。

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駅前に広がる社宅跡。かつては250戸が並んでいましたが徐々に取り壊されているようで殆どが空家となっています。

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by sunshine-works | 2017-06-24 16:08 | 近代建築 愛媛県 | Trackback | Comments(0)


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