2014年 12月 25日
京都府京丹後市の近代建築その2 京都府の北西部、兵庫県との境に位置する久美浜一帯は日本海航路の要衝として栄え、天領となった江戸時代には代官屋敷を中心とした町並みが築かれていました。 その後、久美浜代官所の管轄区域は幕末に設置された久美浜県に移行され、京都・兵庫の中北部から生る大きな県域を治めましたが、程なく明治4年に廃止され、生野、豊岡両県に分割されます。 行政の中心としての役割を失ったものの、久美浜はその後も地域の拠点としてその地位を保ち、明治期から昭和初期に幾つもの近代建築が建てられました。 京丹後市探訪の2回目は、久美浜町中心部に残る旧久美浜県庁舎の旧玄関棟と昭和7年築の旧久美谷町役場を紹介します。 旧久美浜県役場は明治元年に久美浜代官所敷地内に初代庁舎が置かれましたが、明治3年に近接地に新築されます。この庁舎も翌4年には久美浜県が廃された事により新設された豊岡県庁舎として移築されますが、大正後年に玄関部分が再び久美浜に戻され、神社の社務所として使用されました。 現存するのは玄関棟として建てられた木造平屋、漆喰壁、瓦葺きの和風建物。 明治期の庁舎の多くは儀洋風と呼ばれる和洋折衷様式で建てられましたが、幕末から明治初年に設置されたこれら初期の役所建物には洋風の意匠は用いられず、江戸時代の代官屋敷や武家屋敷に倣った造りでした。 ![]() ![]() 明治初期の庁舎建物は各地に残されていますが、廃藩置県以前の三冶制と呼ばれる行政制度に於いて設置された庁舎の現存例は極僅かです。 この旧久美浜県庁舎は当時の姿を伝える資料として貴重な建物となります。 ![]() この建物は、昭和7年に久美谷町役場として建てられ、戦後に周辺合併で誕生した久美浜町の庁舎として使われました。
by sunshine-works
| 2014-12-25 19:31
| 近代建築 京都府
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Comments(2)
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東経135度線が通る久美浜は京都府で最も京都市から遠く離れた地にあります。
京都市街からの距離は170km、これは京都市街から安城市や備前市や加賀市に匹敵する距離で、京都府は面積の割に細長いのがびっくりします。 ところで 中四国方面は広島県・愛媛県・高知県の、 近畿方面は和歌山県・奈良県・滋賀県・三重県・福井県・岐阜県・愛知県の 近代建築物も取り上げて欲しいです。
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富所さん コメント有難うございます。
もっと範囲を広げて行きたい気持ちはありますが、今の掲載ペースでご要望の上記地域を網羅した場合、10年越しの作業となるやも知れません。徐々に拡大してまいりますので、今しばらくお待ちください。 |
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