2013年 09月 25日
鳥取県米子市の近代建築その8 中海に突き出した半島の突端、米子市と境港市に跨って米子空港の敷地が広がっています。 航空自衛隊美保基地と共用する米子空港は、旧海軍の航空隊基地がその前身となりますが、この空港周辺には旧軍時代に設けられた数基の掩体壕(航空機用の壕)が今も残されています。 空港に面した道路脇に残る壕。現存する米子空港周辺の掩体壕の中では最も規模が大きく、また内部の様子が良く伺えます。 掩体壕とは航空機を空襲から守る為に飛行場周辺に築かれた施設で、その多くは半地下式のコンクリート壕に土盛をしただけの簡易なものでした。 本土空襲が激しくなった戦争末期の旧軍の航空基地にはこのような壕が数多く造られますが、使われているコンクリートの厚さからすると爆弾の直撃に絶え得るものとは思えず、機体の隠蔽と銃撃や爆風からの保護が主な目的だったのでしょう。 内部は奥が狭く、高さも奥側が低く造られています。 当時の軍用機は尾輪式だったので低い後ろ側から収容し、機首が手前側になります。 入口上部にはプロペラの高さギリギリに切り欠きが設けられています。 暫らく進んだ集落の中程に残る壕。先ほどに比べると小型な壕です。 奥行きも短く、入口も両翼が収まる形状となっていません。 この規模では機体全体(単発戦闘機で縦・横最大10メートル程)を格納するには足らず、機体の後ろ半分のみを収めて前部は土塁等で防護したものとも思われます。 こちらは美保基地の中に残る数基の壕。 土盛りがそのまま残され、当時の状況が良くわかります。 少し離れた場所の小ぶりな壕。 飛行機の壕ではなく、通信施設が収められていたようです。 戦時中に各地の航空基地に築かれたこれらの壕の多くは農業倉庫や資材庫としてその後も使い続けられましたが、周辺の開発や老朽化を理由に大半が取り壊されてしまいました。 僅かに残されたこれら幾つかの壕跡が貴重な歴史を伝えています。
by sunshine-works
| 2013-09-25 18:03
| 近代建築 鳥取県
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