2013年 08月 05日
養父の近代建築その3 かつて鉱山町として栄えた大屋町明延の中心部に鉱山労働者用に建てられた共同浴場が残されています。 合計6箇所設けられた共同浴場の中で唯一現存するこの建物は、昭和9年に建てられました。 ![]() 養父市の北部に位置する明延鉱山は奈良時代に遡る歴史を持つと言われています。 各種非鉄金属を産し、とりわけ明治期に発見された錫は日本全体の9割を占める産出量を誇りました。 鉱山は採鉱コストの高騰から昭和62年に閉鎖され、中心部だった明延周辺も現在は静かな山間の町となりましたが、往時には大屋川に沿ったこの地区周辺に多くの従業員住宅が建てられ、数々の福利厚生施設が並んでいました。 *こちらに参考記述があります。 ![]() ![]() ![]() 企業城下町と呼ばれた町は数多くありますが、他地区から離れた山間の鉱山町ではその依存度は更に強く、生活の殆どが鉱山会社と密接に繋がっていました。 鉱石運搬用に敷かれた専用軌道には客車も運行され、その運賃は1円のみ、地区に引かれた水道・電気は原則無料、この共同浴場も無料で開放されていました。 ![]() 公衆浴場としては珍しい洋風意匠。三角破風を張り出した正面入口、入口両脇の付柱、左右に縦長窓を並べます。当時流行のセッセションを取り入れたモダンな建物です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 少し下がって南側面の眺め。浴室の外は庇を張り出したテラスとなっています。 ![]() 閉山後20年以上を経た今日、当時の山の生活を支えた施設や建物の殆どが失われてしまいました。 この浴場跡は往時を偲ぶ貴重な遺構として今に伝わります。 ![]()
by sunshine-works
| 2013-08-05 20:49
| 近代建築 兵庫県
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