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2013年 03月 31日
徳島県三好市の近代建築その3 土讃線祖谷口駅の南、吉野川に注ぐ祖谷川沿いの山道を上って程なく、川沿いの薮の中に崩れかけた煉瓦建造物が残っています。 竣工当時四国最大の水力発電所として建てられたこの旧三縄水力発電所は、役目を終えて50年を経た今も当時の姿を留めています。 ![]() 発電所が置かれているのは道路から斜面を下った川岸の崖の上。 生い茂る草むらを掻き分けて進むに連れて崩れかけた煉瓦建物が徐々に見えてきます。 大正元年、香川県の四国水力電気株式会社の発電所として建てられました。 この発電所が建てられた頃には既に長距離送電の技術が実用化されており、遠く離れた県外の発電所から電気を供給する事が可能となっていました。 ![]() ![]() 四国で最も山地面積比率が高い徳島は吉野川や那珂川水系の豊富な水資源に恵まれた事で水力発電所の立地に適し、明治期より多くの水力発電所が設置されました。 中でも吉野川水系の上流域となる徳島県南部から高知県境にかけてのこの一帯は早期から開発が進められ、徳島の水力発電の中心地帯となっていきました。 ![]() 元入口らしき開口部から中を窺います。内部は荒れ放題、床面には何やら波板で覆いが掛けられています。 ![]() ![]() ![]() 足元に注意して建物の中へと進みます。 ![]() ![]() 剥がされた床板の下からは雑草が繁茂。周囲から根を伸ばした竹も生えています。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 建物各部はボロボロ。かろうじて壁面だけが屹立する状態です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 当時のままの木製窓枠が残された一角。 ![]() ![]() ![]() 北側の開口部から建物の外へ抜けて外壁を眺めます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 西側の壁面の向うに祖谷川を望みます。 ![]() 三縄発電所は昭和34年に送電を開始する新三縄発電所にその座を譲って50年に渡る歴史を終えますが、旧発電所は解体される事無く時間が止まったままその姿を今も留めます。 徳島に於ける大規模水力発電所の嚆矢となったこの発電所は、四国の電源開発の歴史を伝える貴重な資料として残ります。 ![]() *保守管理されている建物ではありません。危険が伴いますので、立入に際しては自己責任で願います。
by sunshine-works
| 2013-03-31 19:39
| 近代建築 徳島県
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Comments(2)
こんにちは。
私、廃屋のようなものにものすごくそそられるんですが、この建物も写真を見るだけでゾクゾクしてきます。 レンガや窓枠に草木が絡んでいる様にゾッコンです!
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